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前編
しおりを挟む幼い頃から謎の言語を理解することができた。
あれはまだ五歳くらいだった頃。
庭に得体のしれない生き物が佇んでいるのを発見して。
「ポッ、ポオポッ、オポポポッ? (あの、ええと、ここはどこ?)」
私はその言葉の意味を理解できたのだが、親や近所の人など周囲の人たちは理解できていないようだった。
その時は私が通訳のように動いてその謎の生き物を山へ返すことができた。
あれは不思議な出来事だった……。
でもそれも遥か昔の出来事で。
そんな不思議な経験をしたことのある私も、今や二十歳になり、皆と同じように婚約者がいる。
だが何もかもが上手くいくわけではなくて。
「お前との婚約、破棄するわ」
婚約者、彼の名はディッツ。
彼は私のことを前々からあまり良く思っていないようだった。友人に私の悪口を言っているところを目撃したこともあったくらいで。だから愛されているなんて欠片ほども思ってはいなかった。
だから婚約破棄を告げられてもそこまで驚きはしない。
「婚約破棄、ですか」
「ああそうだ。俺、お前とは上手くやっていける気がしねえ。だから早めに終わりにしようと思ってさ。いいだろ? お前だって、嫌われながら生きてゆく方が嫌だろ」
「それはそうですね」
「よし! 決まりだ! じゃ、そういうことで。さらば!」
「そうですか……分かりました」
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