信じていたのに

四季

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信じていたのに

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いつか迎えに来てくれるって
そう信じていた
ずっと信じていた
あの日の貴方の言葉を
だって
だって私
貴方を疑おうとなんて少しもしなかったし
そんな発想なんてなかった
だから
貴方はきっとまた帰ってきてくれるって
そう信じて
そう思って
ずっと生きてきたの

孤独に耐えられたのだって
貴方との約束があったから

いつかまた来てくれるって
そう信じていた
ずっと信じていた
あの時の貴方の誓い
だって
だって私
貴方は違えたりしないと思っていたの
だから悪いことは考えず
だから
貴方ならきっとまた会いに来てくれる
そう信じて
そう思って
ずっと生きていたのよ

でも貴方が私に残したのは

『婚約は破棄する』

そう書いた紙一枚だけ

ずっと信じてきたのに
すべてが壊れてしまって
もう貴方を信じられなくなって
その時私もまた壊れたの
だからもう過去へは戻れない
でも
でもね私
まだ貴方との日々を諦めてはいないの

覚悟していて

貴方に会いに行くから

そして

装飾された短剣ですべてを――


遺されるのは

私一人
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