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前編
しおりを挟むこの国には降雪など滅多にない。
それこそ数十年に一度。
そのくらいしか降らない雪は、幸運の象徴とされている。
しかし。
「雪くらいではしゃぐとかガキかよ、あり得ねぇ。がっかりしたわ。てことで、婚約は破棄な」
珍しく降った雪が愛おしくて、つい童心に戻り、はしゃいでしまった。
そこを婚約者ノーズに目撃されていて。
その日の夕方呼び出され、関係の解消を告げられた。
「え……どうして……?」
まさかの宣言だった。
無意識に理由を聞いてしまう。
「聞けよ! ったく、仕方ねぇな。雪ではしゃいでるところを見て嫌いになったんだ!」
「そうですか……。でも、珍しくないですか? 雪ですよ? はしゃいでしまいますよ、珍しいことですし……」
「うるせえ!!」
「っ……」
今日のノーズはいつになく攻撃的だ。
声もいちいち大きい。
「そういう女は無理なんだよ!!」
「……はい」
「いい年してくだらんことではしゃぐとか! あり得ねぇんだよ! 子どもか? 大人だろ? なら大人らしく静かに見てろや!!」
こうして私は婚約破棄された。
ちょっとはしゃいだだけじゃない……、なんだかなぁ……。
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