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後編
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あの婚約破棄から数年、私は親の紹介で知り合った六つ年上の男性エデルリッツァと結婚した。
彼は大企業を営む男性の息子であり、しかしそれでいて高圧的なところや問題行動はない人格者だった。
「明後日休みだからさ、どこかちょっと出掛けたりしないかい?」
「いいわね!」
結婚前から優しかったが、結婚してもその優しさに変化はなかった。
「ちょっとしばらくどこも行けなくて……ごめんね?」
「いいのよ、忙しかったのだし」
「ありがとう優しいね」
「そんな。照れるわ。というより、優しいのは貴方でしょう」
いつだって気遣いのできる男だ、彼は。
そんな彼を愛しているし尊敬もしている。
「フローラと出掛けるの楽しみだなぁ」
「どこに行くの?」
「……あっ、考えてなかった」
「もう……相変わらずね。でもいいわ、今から考えましょうよ」
「そうだね、一緒に考えようか」
ちなみにシュベッツはというと、あの後マリネリアに貢ぎ過ぎて破産したそうだ。
また、金がなくなった瞬間マリネリアは彼の前から姿を消してしまったそうで――シュベッツはその時になってようやく「金目当てだったのだ」と気づいたのだとか。
後にシュベッツは貧しい生活を苦に自殺。
一方のマリネリアはというと、金持ち男のもとを渡り歩いて生きようとするもある時危険な職の男に手を出してしまって自滅――口喧嘩の延長線上で鈍器で殴られ亡くなってしまったらしい。
自業自得だなとしか思わないが……。
◆終わり◆
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