私の主張は少しも聞いてくださらないのですね

四季

文字の大きさ
1 / 3

前編

しおりを挟む
「マリエラ王女! 婚約を破棄させていただきたい!」

 ある夏の夜、隣国の晩餐会にて、私は婚約者のブラウンにそう告げられた。

 私と彼は隣り合う国の王子と王女。両国の関係のため、婚約することとなった。それぞれの娘と息子を差し出すことで、二国に切れない関係を作ろうという意図があったのだろう。

 愛し合って婚約したわけでないということは分かっている。
 けれども、いきなりどうしてこんなことを言われているのかは分からない。

「それは一体どういったお話ですか?」

 分からないことが多過ぎる。

 まず、どうして晩餐会の場でこんなことを告げるのか。

 他人がいるところで告げる必要なんてないはずなのに、彼は敢えて他人がいるところで告げることを選んだ。何となく、ということは、さすがにないだろう。敢えて他人がいる場で告げることを選んだのだ、何かしらの意図があるはず。

 そして、なぜ前もって伝えてくれなかったのか。

 王子と王女の婚約を破棄する、となると、それは小さなことではない。それは、少し間違えば両国の関係が悪化するようなこと。重要なことだからこそ、慎重にならなくてはならない。公の場で告げるにしても、前もって何かしら伝えておく必要があるはずだ。

「国のためを思い、僕は君との婚約を受け入れた。が! 君の悪い行いを耳にして、婚約するべきではないと判断した! よって婚約破棄させてもらう!」

 ブラウンは片手の手のひらをこちらへかざすようにしながら、堂々とした大きな声で宣言する。
 ただ、内容が内容なので、かっこよくはないのだけれど。

「……悪い行い?」

 誰に何を吹き込まれたのだろう。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

グランディア様、読まないでくださいっ!〜仮死状態となった令嬢、婚約者の王子にすぐ隣で声に出して日記を読まれる〜

恋愛
第三王子、グランディアの婚約者であるティナ。 婚約式が終わってから、殿下との溝は深まるばかり。 そんな時、突然聖女が宮殿に住み始める。 不安になったティナは王妃様に相談するも、「私に任せなさい」とだけ言われなぜかお茶をすすめられる。 お茶を飲んだその日の夜、意識が戻ると仮死状態!? 死んだと思われたティナの日記を、横で読み始めたグランディア。 しかもわざわざ声に出して。 恥ずかしさのあまり、本当に死にそうなティナ。 けれど、グランディアの気持ちが少しずつ分かり……? ※この小説は他サイトでも公開しております。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

【完結】婚約破棄からの絆

ともボン
恋愛
 アデリーナ=ヴァレンティーナ公爵令嬢は、王太子アルベールとの婚約者だった。  しかし、彼女には王太子の傍にはいつも可愛がる従妹のリリアがいた。  アデリーナは王太子との絆を深める一方で、従妹リリアとも強い絆を築いていた。  ある日、アデリーナは王太子から呼び出され、彼から婚約破棄を告げられる。  彼の隣にはリリアがおり、次の婚約者はリリアになると言われる。  驚きと絶望に包まれながらも、アデリーナは微笑みを絶やさずに二人の幸せを願い、従者とともに部屋を後にする。  しかし、アデリーナは勘当されるのではないか、他の貴族の後妻にされるのではないかと不安に駆られる。  婚約破棄の話は進まず、代わりに王太子から再び呼び出される。  彼との再会で、アデリーナは彼の真意を知る。  アデリーナの心は揺れ動く中、リリアが彼女を支える存在として姿を現す。  彼女の勇気と言葉に励まされ、アデリーナは再び自らの意志を取り戻し、立ち上がる覚悟を固める。  そして――。

婚約破棄してくださいませ、王子様

若目
恋愛
「婚約破棄してくださいませ」 某国の王子アルフレッドは、婚約者の令嬢アレキサンドリアから、突然こんなことを言われた なぜそんなことを言われるかわからないアルフレッドに、アレキサンドリアはあることを告げる

悪女なら、婚約破棄してくれますか?

ぽんぽこ狸
恋愛
 公爵家子息であるクリフフォードの婚約者、レジーナはある目的の為に婚約破棄を目指して悪女を演じていた。  その目的とは、公爵家邸の屋根裏でひっそりと暮らしているクリフフォードの兄であるフェリックスを救い出すという事だ。病弱である彼はこのまま冷遇されいつかは早すぎる死を迎えるだろう。  そんな未来を回避するためにレジーナは今日もクリフフォードに嫌われるために策を打つのだった。    一万文字いかないざまぁです、あっさり読めると思います。暇つぶしにどうぞ。

婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます

藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。 彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。 去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。 想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。

「婚約破棄だ」と叫ぶ殿下、国の実務は私ですが大丈夫ですか?〜私は冷徹宰相補佐と幸せになります〜

万里戸千波
恋愛
公爵令嬢リリエンは卒業パーティーの最中、突然婚約者のジェラルド王子から婚約破棄を申し渡された

伯爵令嬢の逆転劇

春夜夢
恋愛
名門貴族の令嬢クラリスは、婚約者である侯爵子息から突然の婚約破棄を言い渡される。理由は「平民の令嬢と真実の愛を見つけたから」。だがそれは仕組まれた陰謀だった──。家族を守るため黙って身を引いたクラリスだったが、彼女の真の力と人脈が今、王都で花開く。裏切った彼らに「ざまぁ」を届けながら、唯一自分を信じてくれた騎士と新たな未来を歩むことに――!

処理中です...