紅茶を飲みつつ振り返る過去 ~あの婚約破棄は衝撃的かつ辛いものでしたがそのおかげで今があると思っています~

四季

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前編

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 私は今、夫が営む喫茶店にて、紅茶を飲んでいる。

「今日新しく入った種類の紅茶なんだけど、味、どうかな? 試してみてくれない?」
「ええ、飲んでみるわ」

 カップを近づければ鼻に抜ける良い香り。
 大人びた色気のある匂いだ。

「良い匂いね」
「うんうん」
「――味も、悪くないわね」
「なら良かった」
「でも、もう少しだけ薄くてもいいかも」
「そうかい?」
「飲む人の好みに合わせて……でもいいわね」

 夫ロークレインに私が出会ったのは生涯最大の傷心の日だった。

 かつて私にはロークレインではない男性の婚約者がいた。彼との関係は目立って悪い部分はなく、それなりにいつも仲良くできていた。だから思わなかったのだ、彼が裏でやらかしている、なんて。

 でもある時それが明らかになった。

 婚約者は裏で私には秘密で他の女性と関わっており、その関係は日に日に深まり、しまいには夫婦レベルにまで高まっていて――越えてはならない一線を越えてしまっていた。

 そして、女性に子が宿ったのだ。

 女性の親に「責任を取って結婚しろ!」と強く言われたロークレインはその女性と結婚することを決め、私との婚約を破棄することに決めて、あの絶望の日それを私へ告げたのだ。

 他の女性とそこまで深い関係になっていたことに驚いたし、気づけなかった自分を馬鹿だとも思った。
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