婚約者一家からも実の両親からも大事にされなかった魔法使い令嬢は家出して暗殺者となる。

四季

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1話「心ない人たち」

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「テメーみてーなキモい術使いの女、誰も歓迎してねーんだよ! クソが! とっとと、出ていけや!」

 良家の令嬢で火炎の魔法使いでもある彼女フォレアは、婚約者の男性オッズンからそのような刃のような言葉を放たれ。

「婚約なんぞ破棄だ! いいな! そういうことだからな!」

 さらに、婚約という契約まで断ち切られてしまった。

 しかも、悲しみの中で去ってゆく彼女に、追い討ちをかけるような者もいた。
 オッズンの母親だ。
 もとよりフォレアのことを良く思っていなかった彼女は、去りゆくフォレアに「婚約破棄されてやんの、ざっまぁ」とか「クソブス出ていきなさいよ~?」とか子どものような調子で声をかけていた。

 そうして婚約者との関係を失ったフォレアは実家へ帰る。

 だがそこでも温かい対応はなく。

「婚約破棄された!? ふざけないで!! 何をやらかしたのよ恥ずかしい!!」
「実娘ながら……恥、だな」

 実の両親もフォレアが悪いかのように言った。

「育ててあげたのに恥をかかせるなんて! なんて娘なの! 貴女、被害者面するのはやめなさいよ。被害者は、恥をかかされることになった私たちなのよ!」
「ああそうだな。婚約破棄されるなど、親を恥で殺すようなもの。……この殺人娘が。親不孝にもほどがある」

 ここにいたらどうにかなってしまう。
 そう思ったフォレアは夜に家を出た。

 去り際、彼女は、風で飛んでいく『王子行方不明事件』と書かれた特別新聞を見た。
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