今さらやり直してほしいなんて言っても遅いのです。

四季

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前編

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「なぁ、婚約破棄していい?」

 昼下がり、幼馴染みで婚約者でもあるカインツにそんなことを言われた。

「はい? 何それ」
「実は最近可愛いなって思ってる娘がいてさ」
「浮気の話?」
「あー違うんだよ、そうじゃなくて。その娘ときちんと付き合っていきたいなって思ってて」

 不穏な空気が漂う。
 これは私が切り捨てられる展開ではないだろうか。

「だからさ、婚約しちゃってるけど、破棄させてくれないかな」
「何それ。勝手過ぎ」
「君だって、相手が僕だから婚約したわけじゃないでしょ。幼馴染みだしまぁいっか、くらいの感覚だよね。僕もそうなんだ」

 幼馴染みだしまぁいっか、よりかは、きちんと考えて決めましたけど……。

「だから婚約破棄しよ?」
「意味不明」
「え。何で? あ、お金? お金なら払うからさ!」
「ホント意味不明だわ」

 婚約破棄なんてしたくなかった。でも仕方なかった。カインツはもう、すっかりその気になってしまっている。私が何か言ったからその心が変わる、ということは、きっとない。

「……でも、ま、好きにすれば」

 こうして私たちの婚約は破棄へと進んだ。
 幼馴染みとして生きてきた間に築かれた友情も、すべて壊れてなくなった。
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