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婚約破棄された令嬢は草刈りをする。

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「貴様とはもうやっていけん! よって、婚約は破棄とする!」

 突如告げられた婚約破棄。

 でも嫌ではなかった。
 常に高圧的な彼のことは好きでなかったから。

「そうですか、じゃ、私はこれで。さようなら」

 速やかに彼の前から去る。


 ◆


 婚約破棄以降、私は、毎日のように実家の庭の草刈りをしている。

 瑞々しい草たちを刈り取る作業。
 これが意外と楽しいのだ。
 刈り取ってゆく時の青臭い匂いもまた味わい深い。

 上手く言葉にするのが難しいが……これはなかなか魅力的な趣味だと思う。

 ただし、冬場なんかはあまりできないけれど。

 草が生えてきてくれるからこその趣味。
 今のうちに堪能しておかなくては。

 ちなみに、たまには食べられる草もあるので、そういう草を発見した時は摘んでおく。


◆終わり◆
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