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前編
しおりを挟む高圧的だし、いちいち鬱陶しいし、意地悪してくるし、大嫌いだった妹ルレシアが――
「きぃええええええええええ!!」
婚約破棄されて家に帰ってきた。
良家の子息との婚約、ということで偉そうに私を見下しつつ自慢してきていたルレシア。
しかし婚約前に告げていた情報に嘘が混じっていたことが判明し、終わりを告げられてしまったらしい。
嘘を言っていたということに関しては正直驚かない。
だってルレシアは嘘が好きだ。
彼女は人を悪者に仕立て上げるような嘘でさえ簡単に発してしまう人間だ。
だからそんな重要な時であっても平然と嘘をつけるのだろう。
「あの男ぉぉぉぉぉ! ひとを嘘つき呼ばわりしてぇぇぇぇぇ! こんなに可愛いのにぃッ! 許せないッ! 許せないわッ! こんなに可愛い女なんてこの世に滅多にいないのにぃぃぃぃぃぃぃーッ! 後悔させてやる後悔させてやる絶対に後悔させてやるからあああああああああ!!」
ルレシアは激怒していたけれど、私にはなぜそんな反応なのかまったくもって理解できなかった。
自分が嘘をついておいて、ばれて切られたら怒る?
なぜそんなことができる?
まさか、本当に、自分には非がないと思っているのだろうか。
明らかに非しかないと思うが……。
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