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前編
しおりを挟む私、昨日、婚約破棄されてしまった。
数年前に親しくなって婚約するにまで至った彼オブリオとはこれまで比較的穏やかに順調に進んでいたのだが、何と彼の浮気が発覚してしまって、それによって初めて揉めた――そして気づけば婚約破棄を告げられてしまっていたのだ。
なんてこと! ここまで来て!
……けれども私は彼と行くのは諦めた。
だって、彼は他の女性を愛している。そして、それを私が書き換えることは誰にもできない。他人の心なんて他者にはどうしようもないことだから。彼がその人を好きになってしまったのなら、もうそれは事実でしかないのだ。
――でも、やはりどうしても、もやもやして。
それで、婚約破棄された日の翌朝から、庭で縄跳びをしていた。
ひゅっひゅっと縄が空を切る音が心を癒してくれる。それに、ほどよい運動にもなって心地よい。汗が僅かに滲む時、人の精神は解放されるもの。細やかな運動である縄跳びでもそれを体感することができた。
――だが、その行為は、想定外な展開をも連れてきた。
「貴女の縄跳びに惚れました!」
見知らぬ青年がそんなことを言ってきたのである。
彼は白うさぎを擬人化したような容姿で。
少し子どもっぽい人だった。
身長も私と同じか僅かに低いかくらいであった。
可愛らしい系の青年である。
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