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前編
しおりを挟む「貴様との婚約、破棄とする!」
社長の息子で私の婚約者でもあった彼エンベローズは、あるパーティーの最中に突如そんなことを宣言した。
何も知らないパーティー参加者たちは戸惑ったような顔をしている。
「ええ……何あれ……」
「意味分からんですなぁ」
「急に大声出すのはやめてほしいわよね……」
「うるさいし」
「個人的な話をすんなて、きついわ」
無理もないか。
こんなことが始まったら、普通、ただ戸惑うことしかできないだろう。
ぽっちゃりしているエンベローズは片手を豪快に前へ出して叫ぶ。
「貴様との関係はここまでだ!!」
彼はかっこつけていた。
「本気で仰っている……感じでしょうか?」
「当たり前だろうが!」
「えええ……」
「本気でもないのにこんなところで宣言するはずがないだろう!」
「そうですか……分かりました、では、受け入れます」
こうして私は一方的に婚約破棄されたのだが。
その話が激怒した父は呪術師を雇った。
そして作戦は決行される。
――その事件は、ある冬の日の会社での挨拶の際に起こった。
エンベローズが挨拶をしている最中、彼は突如パンツ一枚になってしまった。
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