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後編
しおりを挟むそんなこと、あるわけがない。
薄々そう思いながら。
でもその言葉を無視することもできず。
らしくなく希望を抱いてしまって。
馬鹿よね、きっとただの幻覚なのにそれを信じるなんて。
そんな風に思いつつ、また平凡な日々を歩いてゆく。
◆
結論から言おう。
あの言葉は真実だった。
あれから少しして私には多くの幸福が降り注いだのだ。
まず、父の仕事が急激に成長し、大成功を収めた。
それによって大金が舞い込んできて。
私を含む一家の生活の質は大幅に向上した。
また、今は誰も住んでいない母の実家の庭から金塊が複数見つかり、そこからも富が流れ込んでくることとなる。
そうしてさらに裕福になっていく。
また、私にも変化はあり、風邪を引いた親戚のおばさんの代わりに参加したお茶会にて王子に見初められて――その後色々あったけれど、王子と結婚することとなった。
今はもうあの頃の重苦しさはない。
私は自由。
鎖は砕かれた。
そう、私はどこへだって行けるのだ。
自由な心で、好きなように、生きてゆけるのだ。
ちなみに元婚約者はというと、落ちぶれているようだ。
何でも愛した女性に貢ぎ過ぎたために資産がなくなってしまったそうで、会社の金を使い込み、それがばれて逮捕されたとかで。
彼の信用は地に堕ちた。
彼を雇う者、彼を信頼して傍にいる者、そういう者たちは皆がっかりして彼の周囲から離れていったようだ。
そして、しまいには、女性からも心ない言葉をかけられたうえ去っていかれてしまったようである。
彼はすべてを失い、孤独の中に佇んでいる。
◆終わり◆
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