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前編
しおりを挟むずっと姉である私を虐めて遊んでいた妹ポレアは、二十歳になって間もないある日婚約者ができた。
その婚約者はオーガンデという名で、整った容姿と良いとされる家柄を持ち事業を上手く展開させて富も築いているという、完璧という言葉が似合う人であった。
「やっぱりわたくしモテてしまいますわ~、ね? お姉さま? 貴女はご存知でしょう、わたくしが素晴らしい殿方から好かれやすいこと!」
「そ、そうね……」
「ま! 何かしらその反応。まさか、そうじゃないとでも言いたいの?」
「べつにそんなことないわ」
「あ! 分かりましたわ! 羨ましくて悔しいんですのね? あーあー分かってきましたわよー? 羨ましくて、わたくしがモテることを認めたくないんですのね? あっははは! 確かに! お姉さまはモテませんものね!」
羨ましい、とは思わない。
ただ、真実を知らないとは恐ろしいことだな、とは思うけれど。
だってそうだろう?
ポレアは姉をずっと虐めて笑っていたような女性だ。
でもそうと知らず婚約までする人が出てくる。
きっと彼だって真実を知っていれば婚約なんてしないだろう。
知らないからこそ婚約できる、ということではないか?
彼女のような人間を伴侶にしようと思える、というのは、無知ゆえなのだ。
――それから数週間が経って、ポアレは、飲み屋で知り合ったオーガンデではない男性と交際のようなことを始めた。
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