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前編

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「お前との婚約は破棄とする」

 告げられ、心が砕かれる。

 その日の晩。
 そろそろ寝ようとしていると、突如、頭部に白い光が降り注ぐ。

 何事かと思っていると。

『貴女には道があります。貴女はこの国を護る儀式を行う聖女の生まれ変わり――ですから、これからは、国を護るために舞いなさい』

 そんな声が聞こえてくる。

 誰の声?
 聞いたことのない声だ。

『舞い方は明日の朝には覚えていることでしょう、その方法に従って舞いなさい』
「は、はい……」

 不思議な体験をして、眠りについた。

 そして翌日。

「舞い、って……こんな感じ、かな?」

 漠然と分かる気がする。
 だから私はそれに従いやってみる。

 身体を動かし、歌い、舞う。

「ああ~はいっはいっ、それっ、ほいほい! あ~それはいほいほれちょっさぁ! ほれちょっさぁ~っほれはいそれそれはいっ!」

 思っていたより意味不明な歌詞、けれども私は脳に現れた文字をそのまま読むように歌っていく。
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