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後編

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「ああ~いい、うえお~、かかきっ、くくくぅ~っ、けこ! さささんし~すっせせそぉ~っはい! たちっ、つつてぇ! とぉなぁ、にっぬね! のぉ~っ、はい! ははははははい! はい! はい! ほれ! はい! はい! しょしょ! はい! ほらしょっとら! はいぁ~っ、と! けれしょ! けれしょ! ほいしょ! とれとら! しょ~っこい! はいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいー……とぅぉっ、しゃ!!」

 その後この謎の舞で有名人になった私は、国王に気に入られ、城で舞えることとなった。

 それから私の人生は大きく変わり――いくつもの災難を舞いによって去らせた功績を讃えられて『優秀国民』に認定された。

 しかも、城で活動しているうちに王子に見初められてしまい、彼と結婚するに至った。

 そうそう、これは旧友から聞いた話なのだけれど。

 かつて私を切り捨てた彼は、あの後謎の災難に凄まじい勢いで見舞われてしまい、嵐のような悲劇の中で心身ともに疲弊してゆき――最終的には、普通は数日で治るような風邪をこじらせて亡くなってしまったそうだ。

「ああ~いい、うえお~、かかきっ、くくくぅ~っ、けこ! さささんし~すっせせそぉ~っはい! たちっ、つつてぇ! とぉなぁ、にっぬね! のぉ~っ、はい! はい! はい! ほれほれは! いぃっ!」

 けれどもうそんなことはどうでもいいことだ。

「はいっ、とれ、しょっ! こら! あい! あい! あい! ほれ! ああ~ぃほれしょっ、とらしょっ、へい! ほら! へいへへい!」

 私は舞い続ける。
 この国の未来のために。


◆終わり◆
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