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後編

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 だが、婚約破棄されもうすぐ殺される、というところまで来たので――もう隠しておく意味もない。

「大人しく殺されるのは嫌です!」
「お、落ち着け!」
「殺さないと約束してくだされば」
「いや、それは無理だ」
「そうですか、では……私は私でやりたいようにします!」

 私は最大威力の魔法を発動。

 視界が白く染まる。

 光か、否か、それすらも分からない。
 そんなものが溢れ出す。

「待て! 待つんだ、ここで発動したら……」

 ――そして、すべてが壊れた。

 私を殺そうとしていた兵たちも、その指示を出していたバレットも、誰もが塵と化した。

「……ふぅ、帰ろ」

 取り敢えずこれで死は免れた。


 ◆


 あれから数年、私は今、生まれ育った国を離れて魔法の研究に打ち込んでいる。

 そうそう、バレットの浮気相手の女性はバレットの死にショックを受けて倒れそのまま死亡したそうだ。

 ……ま、自業自得ね。

 だって、彼女が現れたからこんなことになったんだもの。

 誰のせいかといえば彼女のせいでもある、そういうこと。

「書類お持ちしました!」
「あ、はーい」
「あとこれ、結果一覧です! ここに置いておきます!」
「ありがとー」


◆終わり◆
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