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後編
しおりを挟む「エドレフトさんはそれで良いと仰っているのですか?」
「何を言っているの、この家じゃ私が決めたことがすべてよ」
「そう……ですか」
「何なの? その顔。無礼な女ねぇ。ま、もうお別れだからこれ以上は何も言わないけれど」
エドレフトの母親は実に嬉しそうに口角をつり上げていた。
「じゃ、これでね。さよなら」
「……はい、分かりました」
こうして、意外な流れでエドレフトとの婚約は破棄となった。
◆
あの後私は伯母の紹介で良い人に知り合うことができた。
彼は即席めんの移動販売でかなりの富を築いた人。
一度会った時から心惹かれ、あっという間に「共に生きてみたい」と思うようになっていって――それから一年半ほどが経って結婚するに至った。
一方エドレフトの家はというと、あの後少しして壊れてしまったようだ。
というのも、エドレフトの母親が不倫していたことが発覚したそうなのだ。
それで両親が激しく夫婦喧嘩をするようになり、エドレフトはその影響で心を病んでしまったらしい。
エドレフトは自室から出ることを恐れるようになり、数ヶ月もすれば滅多に部屋から出てこないような状態に陥ってしまったそうだ。
その後、夫婦は離婚。
エドレフトは母親と共に路頭に迷うこととなったそう。
でも自業自得だろう。
エドレフトは少し気の毒かもしれないが、母親に関しては同情する部分は一切ない。
それに、エドレフトだって、母親と道連れになるのが嫌なら自立すれば良いだけの話だ――男性なのだから健全な働き口はいくらでもある。
やろうと思えばできることだ。
ただしないだけで。
◆終わり◆
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