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前編
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私にはルトーインという婚約者がいる。
しかし私は彼に嫌われていて。
嫌みを並べられたり、よそで嘘を言いふらされたり、と、日々傷つくようなことをされてきた。
彼はいつも言う。
お前みたいな女は誰にも愛されないんだ、と。
まるで自分に言い聞かせているかのように。
そんな中で迎えた、ある日。
「急で悪いな」
「いえ」
今朝急に呼び出されたのだけれど、今日は朝から大雨だったので、ここまで来るのも大変だった。風雨の中だと、濡れるし風で色々激しく揺れるし、で。私の家と彼の家はそこまで離れてはいないのだが、それでも、風雨の中移動するとなると苦労した。なぜ今日なのか、と思ってしまったほどであった。
「お前との婚約だが、破棄とさせてもらうことにした」
彼はそう述べた。
苦労してここまで来てこれ?
そう思うともやもやした。
風雨の中ここまで来た私の努力は一体……と思わずにはいられない。
「ルトーインさん……本気ですか?」
「もちろん。俺を何だと思っているんだ、嘘つきとでも思っているのか」
いや、実際嘘つきだろう。
いつもありもしないことを言いふらしているのだから。
今回の件とはまた別だが。
「いえ、急だったので驚いただけです」
「馬鹿だな。嫌われていると気づいていなかったのか」
「それは気づいていましたけど……」
「あっそ、くっだらね。ま、いいや。そういうことだから、婚約は破棄な。これで別れだ、さらばダサ女」
雨降りのこの日、私とルトーインの関係は終わりを迎えた。
婚約を破棄されたことは残念なこととも言えるかもしれない。が、彼に色々されなくて良いという意味では、この結果は良い結果かもしれない。離れてしまえばもう嫌がらせはされないだろうし。きっと今よりは良い明日が待っているはず。
しかし私は彼に嫌われていて。
嫌みを並べられたり、よそで嘘を言いふらされたり、と、日々傷つくようなことをされてきた。
彼はいつも言う。
お前みたいな女は誰にも愛されないんだ、と。
まるで自分に言い聞かせているかのように。
そんな中で迎えた、ある日。
「急で悪いな」
「いえ」
今朝急に呼び出されたのだけれど、今日は朝から大雨だったので、ここまで来るのも大変だった。風雨の中だと、濡れるし風で色々激しく揺れるし、で。私の家と彼の家はそこまで離れてはいないのだが、それでも、風雨の中移動するとなると苦労した。なぜ今日なのか、と思ってしまったほどであった。
「お前との婚約だが、破棄とさせてもらうことにした」
彼はそう述べた。
苦労してここまで来てこれ?
そう思うともやもやした。
風雨の中ここまで来た私の努力は一体……と思わずにはいられない。
「ルトーインさん……本気ですか?」
「もちろん。俺を何だと思っているんだ、嘘つきとでも思っているのか」
いや、実際嘘つきだろう。
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