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後編
しおりを挟む「罰ゲームでここまでするのか?」
「こ、これは、迫られて……」
「たとえ罰ゲームだとしても、こんなことはしたら駄目だろう!」
室内の空気は重く刺々しい。
父が怒っているからか、ルーゲンが気まずそうにしているからか、その辺は定かでないけれど。
「……はい、そうですね、もう、娘さんとの婚約は破棄します」
急に開き直るルーゲン。
「何だと?」
「婚約破棄します!! この人を愛しているから!!」
「ああ、だが……残念だが、婚約破棄を告げるのはこちらだ」
「え」
溜め息をついてから、父は宣言。
「ルーゲン、お前と我が娘の婚約は破棄とする!!」
こうして私とルーゲンの縁は切れた。
終わったのだ、すべて。
◆
あの後、まだ怒っていた父は昔から知っているそういう仕事の人に依頼し、ルーゲンを森の小屋に監禁させ暫し苦しませた後に殺めさせた。
ルーゲンの最期は、若いにもかかわらず、切ないものとなったようで。
亡骸は何でもない山に埋められ。
結局、彼の状況は行方不明のままで、誰にも発見してもらえないまま地に埋まっているみたいだ。
そして、あの紺ドレスの女性も、酒場の帰り夜道を歩いている時に暗殺された。
これもまた、父の依頼である。
◆
今年で二十五歳。
私はルーゲンではない男性と婚約していたのだが、今日彼と結婚する。
「今日からは夫婦として、よろしくな!」
「ええ」
もうすぐ夫となる彼は良い家の出なのだが、少々おっちょこちょいなところがあって、物を壊したり落としたりとたまにやらかす。が、それでも、そういうところも含めて彼という人を愛している。それに、やらかした時には素直に謝れるので、そういうところは善良な人だと思うのだ。
「おれちょっと馬鹿だからさ、迷惑かけることもあるけど、でも絶対一途には生きるから! それだけは信じて」
「ええ、信じるわ。そして私も、貴方をずっと想うわ」
「ぅわぁ~!! ありがとぉーっぅ!!」
抱きつかれると息苦しい……。
「これからよろしくね」
「ああ! もちろん! よろしくよろしく!」
◆終わり◆
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