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後編
しおりを挟む「何だったんだろう……夢?」
婚約破棄されておかしくなってしまったのか? 私は。
――しかし、後に、あのにんじんの群れが夢でも幻でもなかったのだと判明した。
というのも、死亡したアダムスがにんじんを口に大量に詰めた状態で発見されたのだ。
その話を聞いた近所の人たちは皆おかしなものを見たかのような顔で「どうにかなっちゃったのかしら……」とか「あれなんだったのかしら」とか「酔っ払ってたのかな? でもあの子って酒飲みじゃなかったような」とか言っていた。
そう、実際、アダムスは酒は飲めない派である。
「ぼくたちのふくしゅうはおわりました。あなたにはこのにんじんのたねをさしあげますので、これから、おおくのひとたちににんじんをたべてもらってください」
「きにいってもらえるとうれしいです」
「もっと、もっと」
「ではこれにてぼくたちはさります、さようなら」
以降、にんじんの不思議な生き物が現れることはなかった。
けれども彼らから託された種は私の手に残ったので、一応庭で育てて見ることにして――その結果、我が家のにんじんが美味しいと評判になり物凄く売れて、私を含む家族は一気に大金持ちになった。
そうして私は、美味にんじんを生み出した人として有名になり、社会的にも地位を得ることとなった。
◆終わり◆
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