婚約破棄され、親から心ないことを言われ、家出することにしました。~それが新しい出会いのきっかけとなりました~

四季

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前編

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 婚約者オーガドスから告げられる。

「お前との婚約なんだが、破棄とすることにした」

 ――あまりにも突然の終焉の言葉。

 私はただ呆然としていることしかできなかった。
 あまりにも何もかも理解不能だったから。

 衝撃に固まったまま帰宅した私を待っていたのは、両親からの心ない言葉。

「お前! 情けない! 婚約破棄されるなど!」
「そうよ! 親として恥ずかしいわ。もう外を歩けなくなってしまったじゃないの!」

 父も母も私の心に寄り添ってはくれなかった。

 どこまでも冷たく。
 ただ自分だけを守ろうとしているようだった。

 ――だから私は家出した。

 闇の中を駆ける。夜は何もかもが黒く染まっていて、通り慣れた道ですらどことなく恐ろしさを感じさせる。時折風に揺られて草木が擦れる音が耳を刺激した。そのたびに何か獣でも出たのかと恐怖心を抱き、ただ、それでもなお駆け抜けた。風で髪が激しく揺れるけれど、悲しみの海に溺れたままではそんなことはちっとも気にならないもので。あてもなく走り続けた。

 悲しみを吹き飛ばそうとするかのように。

 この日、私は、人生において最低な日だと思っていたのだが――その予想は大きく外れ、最高な日々への第一歩となったのだった。

 というのも、家出中に異国の王子と出会ったのだ。

 彼は近くのホテルに泊まっていたそうなのだが夜風を浴びたくなり少し外へ出てきていた。そして私と出会った。たまたま出会い頭にぶつかってしまい、それから、不思議な流れで言葉を交わすようになった。

 で、気づけば私は彼に拾われていたのだ。

 何もかもすべてが変わった。
 彼に出会ったことで。
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