子を為す能力がないことが判明した時、すべてを失うことを覚悟したのですが……

四季

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後編

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「ま、まぁ、そうですけど……」
「良かった! なら僕はこれからも君と歩むよ」
「えええ!?」
「ん? 何かおかしい? 僕はべつに子を作るために君と生きたいと思ってるわけじゃないし」
「でも子孫が……」
「気にしないよ! 僕次男だし。家は兄さんの子どもが継ぐでしょ」

 こうして私はポルテとの関係を続けてゆけることとなった。

 とはいえ、それに関して何もなかったわけではなくて。
 ポルテに近づいてくる女はいたようだ。
 彼女たちはいつも私が子を宿せないという話を持ち出して自分の方が女性として優秀であるなどと言っていたらしい。

 ポルテはそんな言い方をする人を嫌っていた。

「酷いよね、あんな言い方。身体の状態に優秀も何もないのに、あれこれ言ってさ。どんな育ち方してきたんだーって、少し思ってしまうくらいだよ。だからさ、何を言われても気にしなくていいからね? そういう人は悪く言いたいだけだから」

 その後私はポルテと結婚、子はいないながらも穏やかで幸せに生きられている。

 時に私の身体についてあれこれ言ってくる人はいるけれど、そういう人にはポルテがはっきり言葉を発して反撃してくれるので、私の心はいつも救われている。

 いつだって味方でいてくれる彼のため、できることがあれば何でもしようと思う。

 彼の純真な笑顔を護りたい。

「僕、君と一緒になれて良かったよ!」
「……子には恵まれないけれど」
「そんなの関係ないよ!? だって、僕は君と生きたいから君を選んだんだもん。そうでしょ?」
「ありがとう……ポルテ」
「これからもずっと仲良しでいようね!」


◆終わり◆
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