捨てられ聖女、北の山にて溺愛される。~私をはめた王子王女のことは何があっても救いません~

四季

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前編

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 聖女として王子アルフレッドと婚約していた私だが。

「お前、我が妹ルイーネを虐めていたそうだな。よって! 婚約は破棄とする! そして――罰として、お前のようなやつは北の山へ送る!」

 彼の妹である王女ルイーネの策にはめられた私は、ある日突然すべてを失うこととなってしまった。

「虐めて……心当たりがありません!」
「黙れ! 今さら言い逃れはできんぞ!」
「いえ、言い逃れではないのです。本当に、何もしていないので――」
「悪女め! まだ言うか! お前ら、こいつを連れていけ。強制的で構わん、この穢れた女を速やかに城から出すのだ」

 アルフレッドは私の主張など少しも聞いてはくれなかった。
 そして無理矢理城から追い出した。
 もしかしたら最初から真実なんてどうでもよかったのかも知らない、と、後になって気づいた。

 目的は私を追い出すことだった……。

 しかし私の人生は思わぬ方向に進むこととなる――というのも、北の山へ送られてから、長きに渡りそこで暮らす龍に似た魔物と人間のハーフであるアイオンに溺愛されるようになったのだ。

 彼は私を悪女だとは言わなかった。
 傷心の私にそっと寄り添ってくれて。

「お主は悪くない、悪いのは身勝手なやつらのほうだ」

 そう言ってくれたことが、何より嬉しかった。

 彼は私を愛し、私もまた彼に惹かれてゆく――共に生きよう、そう決意した、ちょうどその頃。

「悪しき怪物アイオンの討伐命令が出た! これより命令に従いアイオンを討伐する!」

 アルフレッドの命で討伐隊がやって来た。
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