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後編
しおりを挟む「お主、どうする? ここは危険だ。逃げるなら逃げるで良い、今すぐここから離れよ」
アイオンは気を遣ってくれたけれど。
「嫌よ! 私、貴方と離れるのは嫌!」
一人逃げるのは絶対に嫌だった。
彼の命が狙われているのだ、私だけ安全な場所で暮らしているなんて自分が納得できない。
「では危険な目に遭うこととなるやもしれん」
「それでも! それでも貴方といるわ、ずっと!」
「そうか。……では、討伐隊は殲滅する……それで良いな?」
「ええ、私はそれを望むわ」
こうして幕開けるアイオンと討伐隊の戦い――それは長く続いたが、やがてアイオン側の勝利となった。
討伐隊は皆命を落とした。
そしてさらにアイオンの手下らによって国も燃やされ破壊されることとなる。
王家最後の二人となったアルフレッドとルイーネはアイオンの手下によって捕えられ一度山へ連れてこられた。
「た、助けてくれ! 元婚約者だろ!? お願いだ、救ってくれ! 味方してくれ!」
「そうよ! お兄様はあげるから! あたしたちを助けて!」
何もかもを失いすっかり弱気になった二人は助けを求めてきたけれど。
「こやつら、どうする?」
「……消えてもらいたいです」
「そうか、分かった」
「勝手言ってすみませんが、お願いします」
私は彼らを救いはしなかった。
だって彼らはかつて理不尽に私を切り捨てた人間だ、今さら救う理由なんてない。
こうしてアルフレッドとルイーネは処刑されたのだった。
「巻き込んでしまったこと、謝罪しよう」
「いえ……貴方が無事でよかったです。ただそれだけです」
「しかし怖い思いをしただろう」
「平気です、貴方と一緒なら」
「しかし」
「私は貴方といられれば幸せですから。いつも本当にありがとうございます」
その後私とアイオンは末永く幸せに暮らした。
◆終わり◆
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