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前編
しおりを挟む生まれて初めてできた婚約者は、最初こそとても優しい人だったのだけれど、婚約後しばらくすると私に不愉快そうな目を向けてくるようになった。
何か話しかければ舌打ちまでされてしまうような状態で。
徐々にこちらから話しかけるのも怖くなり、黙ってしまって、それこそもうずっと会話していないというような状況に陥ってしまった。
そして最終的に――。
「婚約、破棄するわ」
そう告げられた。
「お前いっつも黙ってるし面白くないから別の女に乗り換えるわ」
彼は平然とそんなことを言い、私を切り捨てた。
そうして私と彼の日々は終わりを迎えたのだが――その数日後にまさかの出会いがあり、王家の血を引く男性と知り合うこととなる。
「似合ってますね、そのお洋服」
「え、そうですか」
「ええ。そんな気がしますよ。お花の模様も美しいですし、貴女に似合っていると思います」
「ありがとうございます……!」
男性――名はトロピクスというが――彼は品がありながらも気さくで色々喋ってくれる付き合いやすい人だった。
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