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後編
しおりを挟む「あの時は仕事で悩んでいて、それで、植物を見に行っていたんです。何か閃くかも、と思って」
「そうだったんですね」
私たちはすぐに仲良しになった。
まるで、ずっと前から知っていた旧友であるかのように。
「で、閃いたんですか?」
「そうですね」
「おお! 効果が凄い!」
「それからはちょくちょくいろんなところへ行って息抜きするようになったんです」
「そうなんですね! じゃあ今日も?」
「まあそんな感じです」
こうして仲良くなった私とモチテスは、以降、定期的に会って話をするようになった。
意外なところから降って湧いた意外な縁。
それはとても愛おしいもの。
だからこそいつまでも優しく抱いて大切にしていたいと思う。
それにしても――昔一度だけ会って心象に残っていた人とまた会えてしかも親しくなれるなんて、まるでおとぎ話のよう。
不思議な縁ってあるものだなぁ、と強く思う。
ちなみに、私を捨てた元婚約者の彼は、あの後女遊びのし過ぎて不治の病をもらってしまったそう。
今はそれに苦しみながらも何とか生きているらしいが、医師によれば「先はそれほど長くないだろう」という話だそうだ。
話を聞けば気の毒な気もするけれど……でもそれは彼がやりたい放題した結果、そう思えば可哀想とは思わない。
彼が選んだ道だから。
たとえそれが苦難の道であるとしても。
◆終わり◆
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