幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。

四季

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3話「警戒しつつ」

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「次、何する!?」
「お花集めがいいー」
「それいいねぇ」
「はあ? もっと激しい運動がいいに決まってるだろ!」
「うるさいななぁ、もう」
「おいおい! うるさいとか言うなよ!」
「いちいち大きな声出さないでよー」

 縄跳びが終わると次の遊びを何にするかの検討が始まる。
 子どもたちは自主的に話し合っている。
 とはいえそこはさすがに子ども、誰かが仕切るといった形にはならずまとまりのない話し合いとなってしまっている。

 子どもたちの姿を微笑ましく思いつつ見つめていたら。

「だったらお姉ちゃんに決めてもらおう!」
「それいいねぇ」
「案だけ出そう」

 話を振られてしまった。

「お姉たまぁ、決めてほしいのぉ。案だけ出すからぁ。お願いしたいのぉ」
「ええ……それでもいいわよ」
「じゃあ案だけまとめるわぁ」
「でもそれでいいの? 自分たちでとことん話し合って決めた方が納得できるんじゃない?」
「いいのぉ。だってぇ、あたし含めてみーんなぁ、お姉たまのことが好きなんだものぉ。お姉たまがそれがいいって言ったらぁ、反対する人なんていないのぉ」

 なぜか遊び内容の決定権が私に渡されてしまった。

「お花集めがいいー」
「かけっこ、とか」
「そこは押し合い競技だろ!」
「お店屋さんごっこがいいわぁ」

 それぞれやりたい遊びを口にする子どもたち。

「「「「お願いします! 決めてください!」」」」

 なぜに私が決めなくちゃならないのー!? ……なんて思いつつも、そういう話になってしまったものは仕方がないので、どれにするか決める方向で考えることにした。


 ――そして第二の遊びはお店屋さんごっこに決まる。

「いらっしゃいませー」
「これ買う」
「それは石です。新しい石。昨日入荷したものでとっても綺麗なんですよ」
「ごちゃごちゃ言うのはいいから売ってくれよ」
「はいはいー、分かりましたよー」

 私がそう決めた時、子どもたちは大人しく従った。

「お姉たま、コレ、買ってほしいのぉ。お買い得よぉ。それにぃ、今ならずーっと安くしてしまうわぁ。お姉たまが買ってくれるなら九割引きでもいいのぉ」
「え……あ、そうね。じゃあいただこうかしら」
「うふふぅ。やったわぁ。とぉーっても嬉しいわぁ。じゃ、こちら、お姉たまにお売りするわねぇ」

 自分たちが決めてほしいと言ったこともあったのだろう、女の子も男の子も文句は言わなかった。

 筋を通す精神は偉大だと思う。

「はぁい。買ってくれてありがとぉ。お礼にもう一個こっちも付けておいたわぁ。もし良かったら使ってちょうだぁい」
「おまけを付けてもらうなんて申し訳ないわ」
「いいのぉ。お姉たまにならぁ、何だっていいのよぉ。買ってもらえてぇ、とぉーっても嬉しいんだものぉ」

 そんな風にしてお店屋さんごっこを楽しんでいた時、ふと、茂みの方へ視線を向けた。

 そして違和感を覚える。
 とある一本の木の向こう側に誰かがいる。

 六十代くらいだろうか、恐らく男性。

 その人は武器を持っていそうではなかった。
 ただ、じっとこちらを見ていた。
 私の知り合いではない。この世に絶対はないけれど。少なくとも、顔を知っているとかもしかしたらあの人かなとかそういった心当たりはない。

 悪い人だったらどうしよう……。

 その存在に一度気づくともう気になって仕方がなくて。
 どうしようもなくそちらばかり見たくなってしまう。

 とはいえ、不審者であるという確証があるわけでもないので、現段階で騒ぐことはできない。

 取り敢えず様子を窺いつつといったところか……。

 子どもに危害を加えようとする者なら絶対に許さない。指一本触れさせてなるものか。その男性がそうかどうか、は別として、悪しき人間は子どもに近づけさせない。
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