最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

文字の大きさ
10 / 132

オタム剣技大会~part6~

しおりを挟む
僕たちは宿に一旦戻り食事を済ませ、少しの休息を取りました。

サーシャ様が珍しく、「他の試合でも観に行こう。」とおっしゃったので、僕たち二人は揃って試合を観戦することにしました。


会場につくと試合は佳境を迎えている様子でした。どうやらもう一つの試合は終わったようで、現在行われている試合が準々決勝の最終戦らしいです。

戦っているのは、賞金稼ぎのハンター、ザウルスと地元の英雄と称えられている剣士、ヒュラです。


「ザウルスって聞いたことがあるわ。」


サーシャ様の言われた通り、彼は有名人です。恐竜でも狩るつもりなのか、ばかでかい剣がザウルスのトレードマークです。実力も、かなりのものだという噂です。

しかしサーシャ様の視線は彼ではなくヒュラの方へ向けられていました……かなりのイケメンです。

地元出身ということもあり、歓声はヒュラに集まっています。ザウルスにとっては完全アウェイといったところでしょう。

だが、それをものともしないあたり流石です。レト大陸屈指の手練れと呼ぶに相応しい男だと、僕は思います。頑張れザウルス。

別にヒュラに嫉妬心を抱いているわけでは、ありませんからね。


「どうしたどうした!ハンサムボーイ、さっきから逃げ回っているだけじゃねえか。怖いのか、この俺が。」


「そんな物騒なもん振り回されたら、そりゃあ誰だって逃げ回るでしょうよ。体力も底なしだし。本当化け物だな、あんた。」


ヒュラはオーソドックスな剣士の様です。剣と簡単な胸当て、籠手を装備している程度です。スピード型でしょうか。


「この勝負、あのヒュラって奴の勝ちだね。」


サーシャ様はヒュラから目を外さないまま言いました。

おのれ、ヒュラ!サーシャ様のハートを射止めたつもりか!と、僕は少々取り乱してしまいました。

だけど、あながち間違いではありません。その証拠にヒュラの攻撃速度にザウルスは段々とついていけなくなってきています。

サーシャ様は目も肥えてきたのかもしれません。戦いの流れが読める様になったのでしょう。


「くっそ!体が言うこと聞かなくなってきやがった。」


ザウルスは防戦一方に追い込まれていきます。


「そろそろ終わりにしようか、ザウルスの旦那。」


ヒュラは左右に二、三度剣を勢いよく振りました。


「火炎竜ファイアドラゴン!」


ヒュラの剣がまるで燃え盛っている竜のような、そんな剣気を放ちました。

ザウルスも退きません。真っ向からヒュラの剣気を受け前進します。そして両者の剣が重なった瞬間でした。


「お、お見事……。」


ザウルスは膝から崩れ落ちるようにして、その場に倒れました。

何が起こったのか分からずに会場は静寂に包まれました。


「勝者、ヒュラ様!」


その声を皮切りに会場からは大歓声が巻き起こりました。

僕はサーシャ様を見て、こう問いかけました。


「さっきの分かりましたか?」


「ああ。ヒュラは剣を交えると見せかけて剣を引いた。そしてザウルスの攻撃を避けて下から切り上げた。そんなところかな。」


さすがです。やはりサーシャ様は目が良い。

僕は更にこんな質問をしてみました。


「勝てますか、彼に?」


サーシャ様は驚いたような表情を一瞬見せてから微笑みました。


「さあな。」


会場の上空には不穏な雲が流れ込んできていました。空気が湿り、不快指数が上昇していきます。

僕は密かにヒュラとサーシャ様が戦う姿を頭の中に思い描き、胸が高鳴りました。

そして、ダマンの前にヒュラを血祭りに上げて欲しいと心から、そう思ったのでした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...