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新しい国と王
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僕たちはサムという男の放った言葉に衝撃を受けました。
これから向かおうとしていた国が、もうないなんてことあり得ないです。
「国が無くなったって、どういうことですか?まさか本当に国ごと消失してしまった訳ではないでしょう。」
「そりゃそうだ。国はあるが王が変わられて国名もかわったんだ。だから、フォンダンという国はもう無いんだ。」
そういうことでしたか。まあ、確かに、フォンダンという国は存在しないですね。
「ねぇねぇ、どうして王様が変わっちゃったの?」
「原因は、はっきりしないけども急死だったらしいぞ。まだお若い国王様だったから、ちょっと怪しいけどな。」
フォンダンという国は王が、よく変わる国として有名です。
しかし、歴代の王達には共通点がありました。
それはキリエスに対して決して良い感情を持っていないということです。
それは以前、キリエスの一部であった時から続くものです。
その為、キリエスと仲の悪かったフェイトフル・リアルムとも陰では深いお付き合いをしていたと聞いたことがあります。
「それで、次はどんな国王様で、何て国になったの?」
僕もそれを聞きたいです。
「国名はザラス。新国王は――アイスというキリエスの軍人さんだ。」
ザラス!アイス!?
「サーシャ様それって……。」
「間違いないわ。あいつだ。」
これは、とんでもないことになりました。
本当にあの時、出会ったザラスの総統アイス、なのであればフォンダン――いえ、新国ザラスは間違いなくキリエスの属国に戻ってしまったことを意味します。
しかも僕らは、その国を通過しなければなりません。
フェイトフル・リアルムへ行くには避けては通れないのです。
「どうしますサーシャ様?」
「行くしかないわ。」
「楽しみ。」
サーシャ様からは強い覚悟を感じました。
シエルさんは相変わらず、お気楽ですね。
まあ、いずれにせよ前に進むしかありません。
僕たちはサムと別れ再び歩き出しました。
この先、キリエスの直轄の国ザラスへ入らなければならなくなった僕たちに怖いものなんてありません。フード平原なんて余裕で歩けるってもんです。
「ねえサーシャ。ディミトリって死んじゃって何年も経つわよね。どうして今頃、このタイミングで剣を持ってこ来させたのかしら?」
シエルさんの疑問はもっともです。
もちろんディミトリはこの世にいません。それでは友人のパークさんの計らいなのでしょうか?
それとも生前のディミトリが、この日のこの場所をまるで預言者のように指定して贈らせたのでしょうか?
「私にも解らない。パークって人に聞くしかないわ。」
そういう結論にしか行き当たりませんよね。
僕たちは晴れ渡った平原を少し冷たい風邪に吹かれながら歩き続けました。
最初は何もなかったフード平原ですが、しばらくすると小さな宿場町や青空市場などがありました。
「へー、前はこんなのなかったよ。いつの間に出来たんだろ。」
シエルさんの前とは一体何年前の話だろう、と気になりましたが僕には聞く勇気がありませんでした。
しかし、ここは何度も言いますが、敵対するキリエスとソルディウスの国境に程近い場所です。
皆さん金儲けのためならリスクも承知で商売をやられているのでしょう。素晴らしいパワーですね。
僕たちみたいな旅人にはオアシスですしね。
宿場町に入り、ふらふらと歩いていると突然、
「おお!美女発見、しかも二人も。俺たちと遊ぼうぜ。」と、柄の悪い若造二人が声をかけてきました。
当然、サーシャ様たちは無視します。
「飯食った?超旨い肉屋があるんだけど。」
「それか気持ちいい温泉がある宿でも行っちゃう。」
この言葉にサーシャ様とシエルさんは、目を輝かせました。
「肉!」
「温泉!」
二人は、ふらふらと男たちに、ついて行きました。
残された僕は近くの茶屋の通りに置いてあるベンチに腰掛けました。
すぐに老婆が注文をとりにきましたので、僕はお茶を一杯頼んで、ぼんやりとします。
少しづつ夕暮れ時が迫り、空がオレンジ色に染まっていきます。
何だか物悲しいような、それでいて心が落ち着くような妙な気分でした。
「あの、申し訳ないけどもそろそろ店を閉めるでの。」
気がつけば、辺りはすっかり薄暗くなっていました。
僕は憩いの場も追いやられ、道端に腰を下ろしました。
「はぁ、お腹すいたな。」
僕は俯き呟きました。
「こんな所で何やってんのよ。」
「さては誰かのストーカーだな、お前は。」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこにはサーシャ様とシエルさんが揃って立っていました。
「ほら行くぞ。あっちに肉を大量にゲットしたから。」
「その後は宿で温泉だ。久しぶりにベッドで寝れるぞ。あっ、ベッドは一個しかないから、ピートは地べたね。」
「あれ?さっきの男たちは、どうしたんです?」
「ああ、何か妙に馴れ馴れしくしてくるから腹に膝蹴りしてやったわ。」
「私も。一緒にお風呂入ろうとか言いだしたから顔面に肘鉄お見舞いしてやった、キャハハハ。」
お二人らしいですね。
僕は一人でも全然平気でしたけどね。
こうして僕たちは見知らぬ男たちの金で酒を飲み、肉を食べて温泉に浸かることができました。
「はあー、極楽極楽。」
これから向かおうとしていた国が、もうないなんてことあり得ないです。
「国が無くなったって、どういうことですか?まさか本当に国ごと消失してしまった訳ではないでしょう。」
「そりゃそうだ。国はあるが王が変わられて国名もかわったんだ。だから、フォンダンという国はもう無いんだ。」
そういうことでしたか。まあ、確かに、フォンダンという国は存在しないですね。
「ねぇねぇ、どうして王様が変わっちゃったの?」
「原因は、はっきりしないけども急死だったらしいぞ。まだお若い国王様だったから、ちょっと怪しいけどな。」
フォンダンという国は王が、よく変わる国として有名です。
しかし、歴代の王達には共通点がありました。
それはキリエスに対して決して良い感情を持っていないということです。
それは以前、キリエスの一部であった時から続くものです。
その為、キリエスと仲の悪かったフェイトフル・リアルムとも陰では深いお付き合いをしていたと聞いたことがあります。
「それで、次はどんな国王様で、何て国になったの?」
僕もそれを聞きたいです。
「国名はザラス。新国王は――アイスというキリエスの軍人さんだ。」
ザラス!アイス!?
「サーシャ様それって……。」
「間違いないわ。あいつだ。」
これは、とんでもないことになりました。
本当にあの時、出会ったザラスの総統アイス、なのであればフォンダン――いえ、新国ザラスは間違いなくキリエスの属国に戻ってしまったことを意味します。
しかも僕らは、その国を通過しなければなりません。
フェイトフル・リアルムへ行くには避けては通れないのです。
「どうしますサーシャ様?」
「行くしかないわ。」
「楽しみ。」
サーシャ様からは強い覚悟を感じました。
シエルさんは相変わらず、お気楽ですね。
まあ、いずれにせよ前に進むしかありません。
僕たちはサムと別れ再び歩き出しました。
この先、キリエスの直轄の国ザラスへ入らなければならなくなった僕たちに怖いものなんてありません。フード平原なんて余裕で歩けるってもんです。
「ねえサーシャ。ディミトリって死んじゃって何年も経つわよね。どうして今頃、このタイミングで剣を持ってこ来させたのかしら?」
シエルさんの疑問はもっともです。
もちろんディミトリはこの世にいません。それでは友人のパークさんの計らいなのでしょうか?
それとも生前のディミトリが、この日のこの場所をまるで預言者のように指定して贈らせたのでしょうか?
「私にも解らない。パークって人に聞くしかないわ。」
そういう結論にしか行き当たりませんよね。
僕たちは晴れ渡った平原を少し冷たい風邪に吹かれながら歩き続けました。
最初は何もなかったフード平原ですが、しばらくすると小さな宿場町や青空市場などがありました。
「へー、前はこんなのなかったよ。いつの間に出来たんだろ。」
シエルさんの前とは一体何年前の話だろう、と気になりましたが僕には聞く勇気がありませんでした。
しかし、ここは何度も言いますが、敵対するキリエスとソルディウスの国境に程近い場所です。
皆さん金儲けのためならリスクも承知で商売をやられているのでしょう。素晴らしいパワーですね。
僕たちみたいな旅人にはオアシスですしね。
宿場町に入り、ふらふらと歩いていると突然、
「おお!美女発見、しかも二人も。俺たちと遊ぼうぜ。」と、柄の悪い若造二人が声をかけてきました。
当然、サーシャ様たちは無視します。
「飯食った?超旨い肉屋があるんだけど。」
「それか気持ちいい温泉がある宿でも行っちゃう。」
この言葉にサーシャ様とシエルさんは、目を輝かせました。
「肉!」
「温泉!」
二人は、ふらふらと男たちに、ついて行きました。
残された僕は近くの茶屋の通りに置いてあるベンチに腰掛けました。
すぐに老婆が注文をとりにきましたので、僕はお茶を一杯頼んで、ぼんやりとします。
少しづつ夕暮れ時が迫り、空がオレンジ色に染まっていきます。
何だか物悲しいような、それでいて心が落ち着くような妙な気分でした。
「あの、申し訳ないけどもそろそろ店を閉めるでの。」
気がつけば、辺りはすっかり薄暗くなっていました。
僕は憩いの場も追いやられ、道端に腰を下ろしました。
「はぁ、お腹すいたな。」
僕は俯き呟きました。
「こんな所で何やってんのよ。」
「さては誰かのストーカーだな、お前は。」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこにはサーシャ様とシエルさんが揃って立っていました。
「ほら行くぞ。あっちに肉を大量にゲットしたから。」
「その後は宿で温泉だ。久しぶりにベッドで寝れるぞ。あっ、ベッドは一個しかないから、ピートは地べたね。」
「あれ?さっきの男たちは、どうしたんです?」
「ああ、何か妙に馴れ馴れしくしてくるから腹に膝蹴りしてやったわ。」
「私も。一緒にお風呂入ろうとか言いだしたから顔面に肘鉄お見舞いしてやった、キャハハハ。」
お二人らしいですね。
僕は一人でも全然平気でしたけどね。
こうして僕たちは見知らぬ男たちの金で酒を飲み、肉を食べて温泉に浸かることができました。
「はあー、極楽極楽。」
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