76 / 132
Reunion
しおりを挟む
フルガイアの都市に着いた僕たちは、まずその名前に驚くことになりました。
都市の名は、キリエス。
そのことについてフォックスに、どういうことなのかと訊ねたのは言うまでもありません。
「そのことも含めて、全てはディミトリ様からお聞きください。」
僕らは、数多くの謎を抱えたままディミトリさんとの面会に臨むことになりました。
「その前に皆さん、申し訳ないが、これを飲んでおいてください。」
フォックスは、そう言って怪しげなドリンクを配りました。
「これは?」
「我々の世界に人間が訪れてくることなんて、長い歴史の中でも僅かに数えるくらいしかありません。もし、人間がフルガイアに居ることが他の者に知れれば、どんなことが起きるか私にも予測できません。これは、人間の気配を抑えることができるように作られています。まあ、念のためです。」
どうも怪しいですね。
こんなものを、はいそうですかと口に出来ません。
「レジェスさんとジャクリンさんは、この間も飲んで頂いているので、何も心配はいりませんよ。」
それを最初に言って欲しいものです。
他の皆も安心したのか、それを飲み干していきました。
「ねえ、ちなみに私はエルフなんだけど大丈夫なの?」
確かにシエルさんは、人間ではありません。
これは、エルフにも効力があるのでしょうか。
「貴女の場合は飲まなくても差し支えないと思います。フルガイアの民である私でも、貴女から人間の気配は感じません。なので、飲んでも飲まなくても、問題はないでしょう。」
「ふーん、そうなんだ――。」
シエルさんは、そう言いながら謎のドリンクをゴクゴクと飲み干してしまいました。
飲まなくても大丈夫だと言っているのに、飲んでしまうあたり、さすがはシエルさんですね。変わっています。
しかし、このフルガイアという場所は、何から何まで人間の世界と変わりませんね。
魔界のイメージが根底から覆されました。
「驚きましたか?」
僕は、もちろんと答えました。
「私たちのことを魔物と呼んだり、このフルガイアを魔界と呼んでいるのは、人間の勝手な解釈です。私たちは、自分たちのことを魔物だなんて一切、思っていませんからね。」
確かにそうかもしれません。
実際、僕たちとは違う人種ではあります。
ですが、得体の知れない者を魔物だと、一方的に決めつけたのは人間ですからね。
極論を言ってしまえば、もしかしたら彼らは神なのかもしれません。そう言っても否定できる確固たる証拠は何もないのですから。
「我々の中には、アイスの様に人間界に悪い影響を及ぼす、外れ者がいる。たが、それは人間界だって同じでしょう?人間に、もっと力があり、なおかつフルガイアへの行き来が自由に出来れば、もしかしたら私たちが人間を魔物と呼んでいたかもしれない。要はそういうことです。さあ、着きましたよ。中でディミトリ様がお待ちです。」
フォックスの言っていたことは、僕の心に刺さりました。
人間の僕でさえ、たまに人間の所業を悪魔のように感じることがあります。
彼らのことに対して、あまりに無知だった人間の決めつけが、存在さえしない魔物を生み出したのかもしれません。
とはいえ、テルミナにいたのは、どこからどう見ても魔物でしたけどね。
その後、僕たちが案内されたのは、街中にある建物の中では割りと大きな古びた、お屋敷でした。
その道中で見た、街中を行き交う者たちは皆、人間と全く変わらぬ容姿でした。
彼らは何かしらの身体的変化を遂げることは知っていますが、どごがどう変化するのか、予想さえつきません。
本当に、これが僕たちが魔物と呼んでいた者なのかと、思わずにはいられませんでした。
「……ここに父がいるのね。」
サーシャ様は、どこか緊張しているような面持ちです。
僕たちは中に通され、応接室のような部屋で少しの間、待たされました。
大人しく、その部屋で待っていると、突然勢いよく扉が開け放たれました。
「サーシャ!会いたかった、パパだよ!」
都市の名は、キリエス。
そのことについてフォックスに、どういうことなのかと訊ねたのは言うまでもありません。
「そのことも含めて、全てはディミトリ様からお聞きください。」
僕らは、数多くの謎を抱えたままディミトリさんとの面会に臨むことになりました。
「その前に皆さん、申し訳ないが、これを飲んでおいてください。」
フォックスは、そう言って怪しげなドリンクを配りました。
「これは?」
「我々の世界に人間が訪れてくることなんて、長い歴史の中でも僅かに数えるくらいしかありません。もし、人間がフルガイアに居ることが他の者に知れれば、どんなことが起きるか私にも予測できません。これは、人間の気配を抑えることができるように作られています。まあ、念のためです。」
どうも怪しいですね。
こんなものを、はいそうですかと口に出来ません。
「レジェスさんとジャクリンさんは、この間も飲んで頂いているので、何も心配はいりませんよ。」
それを最初に言って欲しいものです。
他の皆も安心したのか、それを飲み干していきました。
「ねえ、ちなみに私はエルフなんだけど大丈夫なの?」
確かにシエルさんは、人間ではありません。
これは、エルフにも効力があるのでしょうか。
「貴女の場合は飲まなくても差し支えないと思います。フルガイアの民である私でも、貴女から人間の気配は感じません。なので、飲んでも飲まなくても、問題はないでしょう。」
「ふーん、そうなんだ――。」
シエルさんは、そう言いながら謎のドリンクをゴクゴクと飲み干してしまいました。
飲まなくても大丈夫だと言っているのに、飲んでしまうあたり、さすがはシエルさんですね。変わっています。
しかし、このフルガイアという場所は、何から何まで人間の世界と変わりませんね。
魔界のイメージが根底から覆されました。
「驚きましたか?」
僕は、もちろんと答えました。
「私たちのことを魔物と呼んだり、このフルガイアを魔界と呼んでいるのは、人間の勝手な解釈です。私たちは、自分たちのことを魔物だなんて一切、思っていませんからね。」
確かにそうかもしれません。
実際、僕たちとは違う人種ではあります。
ですが、得体の知れない者を魔物だと、一方的に決めつけたのは人間ですからね。
極論を言ってしまえば、もしかしたら彼らは神なのかもしれません。そう言っても否定できる確固たる証拠は何もないのですから。
「我々の中には、アイスの様に人間界に悪い影響を及ぼす、外れ者がいる。たが、それは人間界だって同じでしょう?人間に、もっと力があり、なおかつフルガイアへの行き来が自由に出来れば、もしかしたら私たちが人間を魔物と呼んでいたかもしれない。要はそういうことです。さあ、着きましたよ。中でディミトリ様がお待ちです。」
フォックスの言っていたことは、僕の心に刺さりました。
人間の僕でさえ、たまに人間の所業を悪魔のように感じることがあります。
彼らのことに対して、あまりに無知だった人間の決めつけが、存在さえしない魔物を生み出したのかもしれません。
とはいえ、テルミナにいたのは、どこからどう見ても魔物でしたけどね。
その後、僕たちが案内されたのは、街中にある建物の中では割りと大きな古びた、お屋敷でした。
その道中で見た、街中を行き交う者たちは皆、人間と全く変わらぬ容姿でした。
彼らは何かしらの身体的変化を遂げることは知っていますが、どごがどう変化するのか、予想さえつきません。
本当に、これが僕たちが魔物と呼んでいた者なのかと、思わずにはいられませんでした。
「……ここに父がいるのね。」
サーシャ様は、どこか緊張しているような面持ちです。
僕たちは中に通され、応接室のような部屋で少しの間、待たされました。
大人しく、その部屋で待っていると、突然勢いよく扉が開け放たれました。
「サーシャ!会いたかった、パパだよ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる