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arrival
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僕らの目の前に現れたのは、以前シグレ島で戦ったフォックスでした。
僕とサーシャ様は剣を抜き臨戦態勢に入りました。
「お待ちください、サーシャ様。私はディミトリ様の命でお迎えに上がりました。以前のご無礼は、お許しください。あの時は、ディミトリ様から貴女の成長の様子を見てくる様に仰せつかったのですが、悪ふざけが過ぎました。」
そんなことを信用できるわけありません。
そうですよね、サーシャ様。
「……分かったわ。」
何故に!?
そんなに簡単に、魔物の言うことを信じてはいけませんよ。
「フォックスさんは、信用できる方ですよ。私たちを、ここへ誘導してくださったのも、このフォックスさんです。会いたかったですわ、フォックスさん。」
ジャクリンさんは、どうもフォックスに特別な感情を抱いているみたいですね。
ですが、もしかしたら、僕たちをここへ導いた上で皆殺しにするつもりかもしれません。
油断大敵です。
「それで、どうしてシグレ島に父は、来なかったのかしら。娘の成長が気になるのであれば直接、出向いて来ればいいんじゃない。」
サーシャ様は、少しご立腹の様子です。
まあ、それも当然でしょう。
死んだと思わせておいて、こそこそと監視するなんて父親の風上にもおけないです。
「そのことですが、実はディミトリ様はフルガイアを離れられない訳があるのです。」
やはり、言い訳を用意していましたか。
用意周到なことです。
「ディミトリ様は、かなり弱っておいでです。もし、フルガイアから人間界へ行ったならば、恐らく命尽きてしまうことでしょう。ただ、もう一度サーシャ様にお会いしたいと、心から願っておられるのは真実です。」
病気みたいなものでしょうかね?
まあ、自業自得ですけどね。
しかし、このフォックスという男、以前とはまるで別人のような振る舞い方ですね。
ディミトリさんに忠誠を誓っているのでしょうが――。
「あの一つよろしいですか?」
「ああ、貴方か。確かピート殿でしたね。あの時は、すみませんでした。何でも聞いてください。」
「ディミトリさん――サーシャ様の父上はフルガイアの王なのでしょうか?」
僕は前から気になっていました。
あのアイスがサーシャ様に向かってプリンセスと呼んだことをです。
もしそうなら、話の辻褄が合います。
サーシャ様は、魔界のお姫様ということです。
こんなに、胸踊ることは滅多にありませんよ。
「ディミトリ様は王ではありません。そもそも、このフルガイアに王という概念は存在しないのです。」
至極残念です。
期待していただけに無念と言わざるをえません。
「ですが、確かにディミトリ様は昔、王になろうと考えておられました。そして、その野望は叶う寸前までいきました。しかし、色々と事情があって王にはなれませんでした。それでも、ディミトリ様は今でも絶大な影響力をお持ちですよ。」
この世界は、恐らく僕たちの住む人間界とは、大きく異なる世界なのでしょう。
僕は、それ以上は追いかけるのを止めました。
だけど、もう一つだけ確認しておかねば、なりません。
「ディミトリさんとは、会えるのですよね?」
すると、フォックスは少し笑みを浮かべて、
「もちろんです。」と、答えました。
とりあえずは安心しました。
ここまで来て、親子の感動の再会を見れなかったら、どうしようと思っていましたからね。
「ここから、ディミトリ様が居られる場所までは少し距離があります。なので――シレン、シリュウ。」
フォックスが呼んだのは二人の若い男と女でした。
今まで何の気配も感じませんでしたが、二人はまるでそこに居たように現れました。
「この二人が皆さんを運びます。乗り心地は保証しますよ。」
運ぶ?
まさか、おんぶでもしてくれるのでしょうか?
そんなことを思っていると、突然二人は、ドラゴンに変身してしまいました。
これには、さすがに度肝を抜かれましたね。
茶色い巨大なドラゴンの背に、僕らは二手に別れて搭乗しました。
「ドラゴンの背中に乗れるなんて夢のようだ。」
ローラスは一際、感激に浸っているようです。
確かに、僕だって興奮しています。
なんたって、ドラゴンは男のロマンですからね。
「ねえ、フォックス。父は、その……元気なの?病気で寝たきりとかになっていない?」
やはりサーシャ様は、心配しておられます。
死んだと思っていた父上が実は生きていた。
しかも、音信不通のまま何年も経っているわけですから、それは最初は怒りに満ちあふれます。
しかし、家族のことですから段々と怒りが心配に変わってくる。
それが、世間一般の方の心情でしょう。
まあ、僕にはさっぱり理解できない感情ですけどね。
「え、ええ。力は弱くなっていますが、何というかすこぶる、お元気です。」
フォックスの言葉に、どこか安堵の表情を見せたサーシャ様でした。
優雅な空の旅は時間を忘れさせるくらい快適でした。
そして、数時間くらい経った頃、突然終わりを迎えます。
「そろそろ着きますよ。ほら、見えてきました。あれが、フルガイアで一番大きな都市――キリエスです。」
僕とサーシャ様は剣を抜き臨戦態勢に入りました。
「お待ちください、サーシャ様。私はディミトリ様の命でお迎えに上がりました。以前のご無礼は、お許しください。あの時は、ディミトリ様から貴女の成長の様子を見てくる様に仰せつかったのですが、悪ふざけが過ぎました。」
そんなことを信用できるわけありません。
そうですよね、サーシャ様。
「……分かったわ。」
何故に!?
そんなに簡単に、魔物の言うことを信じてはいけませんよ。
「フォックスさんは、信用できる方ですよ。私たちを、ここへ誘導してくださったのも、このフォックスさんです。会いたかったですわ、フォックスさん。」
ジャクリンさんは、どうもフォックスに特別な感情を抱いているみたいですね。
ですが、もしかしたら、僕たちをここへ導いた上で皆殺しにするつもりかもしれません。
油断大敵です。
「それで、どうしてシグレ島に父は、来なかったのかしら。娘の成長が気になるのであれば直接、出向いて来ればいいんじゃない。」
サーシャ様は、少しご立腹の様子です。
まあ、それも当然でしょう。
死んだと思わせておいて、こそこそと監視するなんて父親の風上にもおけないです。
「そのことですが、実はディミトリ様はフルガイアを離れられない訳があるのです。」
やはり、言い訳を用意していましたか。
用意周到なことです。
「ディミトリ様は、かなり弱っておいでです。もし、フルガイアから人間界へ行ったならば、恐らく命尽きてしまうことでしょう。ただ、もう一度サーシャ様にお会いしたいと、心から願っておられるのは真実です。」
病気みたいなものでしょうかね?
まあ、自業自得ですけどね。
しかし、このフォックスという男、以前とはまるで別人のような振る舞い方ですね。
ディミトリさんに忠誠を誓っているのでしょうが――。
「あの一つよろしいですか?」
「ああ、貴方か。確かピート殿でしたね。あの時は、すみませんでした。何でも聞いてください。」
「ディミトリさん――サーシャ様の父上はフルガイアの王なのでしょうか?」
僕は前から気になっていました。
あのアイスがサーシャ様に向かってプリンセスと呼んだことをです。
もしそうなら、話の辻褄が合います。
サーシャ様は、魔界のお姫様ということです。
こんなに、胸踊ることは滅多にありませんよ。
「ディミトリ様は王ではありません。そもそも、このフルガイアに王という概念は存在しないのです。」
至極残念です。
期待していただけに無念と言わざるをえません。
「ですが、確かにディミトリ様は昔、王になろうと考えておられました。そして、その野望は叶う寸前までいきました。しかし、色々と事情があって王にはなれませんでした。それでも、ディミトリ様は今でも絶大な影響力をお持ちですよ。」
この世界は、恐らく僕たちの住む人間界とは、大きく異なる世界なのでしょう。
僕は、それ以上は追いかけるのを止めました。
だけど、もう一つだけ確認しておかねば、なりません。
「ディミトリさんとは、会えるのですよね?」
すると、フォックスは少し笑みを浮かべて、
「もちろんです。」と、答えました。
とりあえずは安心しました。
ここまで来て、親子の感動の再会を見れなかったら、どうしようと思っていましたからね。
「ここから、ディミトリ様が居られる場所までは少し距離があります。なので――シレン、シリュウ。」
フォックスが呼んだのは二人の若い男と女でした。
今まで何の気配も感じませんでしたが、二人はまるでそこに居たように現れました。
「この二人が皆さんを運びます。乗り心地は保証しますよ。」
運ぶ?
まさか、おんぶでもしてくれるのでしょうか?
そんなことを思っていると、突然二人は、ドラゴンに変身してしまいました。
これには、さすがに度肝を抜かれましたね。
茶色い巨大なドラゴンの背に、僕らは二手に別れて搭乗しました。
「ドラゴンの背中に乗れるなんて夢のようだ。」
ローラスは一際、感激に浸っているようです。
確かに、僕だって興奮しています。
なんたって、ドラゴンは男のロマンですからね。
「ねえ、フォックス。父は、その……元気なの?病気で寝たきりとかになっていない?」
やはりサーシャ様は、心配しておられます。
死んだと思っていた父上が実は生きていた。
しかも、音信不通のまま何年も経っているわけですから、それは最初は怒りに満ちあふれます。
しかし、家族のことですから段々と怒りが心配に変わってくる。
それが、世間一般の方の心情でしょう。
まあ、僕にはさっぱり理解できない感情ですけどね。
「え、ええ。力は弱くなっていますが、何というかすこぶる、お元気です。」
フォックスの言葉に、どこか安堵の表情を見せたサーシャ様でした。
優雅な空の旅は時間を忘れさせるくらい快適でした。
そして、数時間くらい経った頃、突然終わりを迎えます。
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