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師弟コンビ
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「さて、それでは始めるか。」
レジェスは、多数のキリエス兵に囲まれても動じません。
というより、本気でこの人数相手に戦うつもりでしょうか。
「弓矢隊、打て!」
キリエス兵たちが一斉に矢を放ちました。
これは少々まずいですね。
さすがにこれだけの矢を払うことは不可能です。
「アイスウォール!」
突如、僕らの前に氷の壁が出現してきたではありませんか。
僕は最初、何が起きているのか理解できないでいました。
しかし、それがレジェスの魔法だと知って更に驚きました。
まさか、レジェスがこんな高度な魔法を使うとは夢にも思ってあたなかったからです。
「ちっ!ならば魔法部隊、あの氷の壁を焼いて溶かしてしまえ。」
今度は数人の魔法使いが、同時に火を放ちました。
レジェスが出した氷の壁は瞬く間に溶けだします。
「ムーディーストリーム!」
レジェスは、また違う魔法を唱えました。
すると、氷の壁は一瞬にして溶け、濁流と化してキリエス兵たちを襲いました。
「サンダーボルト!」
更にレジェスは魔法を唱えます。
今度は、その濁流に雷を落としました。
「ぎゃあああ!」
水を伝った電撃がキリエス兵たちを、ばっばったと倒していきました。
しかし、驚きました。
これでは剣士ではなく、上級の魔法使いではありませんか。
僕は、レジェスがこれほどの魔法を使いこなせることを、今初めて知りました。
「さて、お次はこれだ。ホロウソード!」
すると、レジェスの片手にもう一本の剣が出現しました。
その剣は微かに透けているような、そんな虚ろな剣でした。
これは、魔法剣ですね。
僕は絶句するしかありませんでした。
まさか、習得難易度が高い魔法剣まで使えようとは、もはや笑うしかないです。
レジェスは、双方に持った剣で舞うように敵を斬り倒していきました。
この魔法剣もかなりレベルが高いものだと思われます。
剣の腕はもちろんのこと、魔法そして魔法剣と全てにおいて一流と認めざるを得ません。
さらに言わせてもらえれば、恐らくレジェスはまだ余裕をもって戦っています。
彼の底はどれ位なのか想像もつきません。
まったく……化け物ですね。
「おい師匠、何をボサッとしているのだ。少しは手伝え。」
圧倒的に僕よりも強い彼ですが、まだ師匠と呼んでくれるのですね。
「残りは任せてください。」
残りと言ってもほんの僅かしかいませんけど、僕は全力で敵を斬り裂きました。
「ふぅ、片付いたな。」
「そうですね。さて、また新手が来ないうちに、とっとと引き揚げましょうか。」
「そうだな。それが賢明だ。」
「……あの、レジェス。」
「ん?」
「……ありがとうございました。」
「や、やめろ、気持ち悪い。」
「気持ち悪いって、師匠に向かって口の聞き方がなっていません。そういえば昔からそうでしたよね。そういう所は全く成長していないんですね。」
こうやって、言い争いをしていると、昔を思い出します。
ただ昔と違うのは、レジェスが声を出せているということ。
だけど、僕には彼と口喧嘩をしていても新鮮というより、どこか懐かしいという感情だけしかありました。
なんというか違和感がないんです。
不思議なものですね。
僕には家族というものがありません。
もしかしたら、こんな感じなのかもしれない。
ふと、そんな風に思えました。
僕とレジェスは、急ぎフェイトフル・リアルムへと帰還しました。
そして、僕を熱烈な歓迎で迎えてくれたのは、国王オベリンでした。
「ブラックエッジよ!生きて帰ってきたか、良かった。お主は命の恩人だ。この戦が終わったら何でも褒美を与えようぞ。」
何でも?これは想定していなかった展開です。
欲しいものは沢山ありますし、やってみたいことも沢山……ぐふふ。
まあ、じっくり考えてみることにしましょう。
「ちょっと待てい。そのピートを救ったのは私だ。私にも是非、褒美を――。」
確かにそうですけど、それはちょっと図々しいのでは、ないですかね。
「おお!レジェス、戻ったか。」
「これは、マスターゼロ。お久しぶりです。」
「――!お前、声が出るようになったのか!?」
そういえば、レジェスにはディミトリさんの事を口外しないという口裏合わせをしていませんでしたね。
「そうなんです。実をいうとこれまでも何度か声が出るようになる事があったのですが、また声を失ったりと不安定でした。しかし今度は違いますぞ。私は完全復活を為し遂げたのです、ワハハハ。」
「そ、そうか。良かったな。」
どうやら、心配には及ばなかったようですね。
「それでピート、アイスの事について何か分かった?」
僕はサーシャ様に報告と自分の考えを挟みながら、キリエスについて説明しました。
「そう……ということは、やはりアイスはフード平原の方に居る可能性が高いって訳ね。」
「ええ。確実とは言えませんが、恐らくそうでしょう。それでこちらの状況は?」
僕の、その問いかけにジャスティス城にいた、皆は重い表情を浮かべました。
「ちょうど君らが帰ってくる直前から、キリエスの猛攻撃が始まった。」
パークさんの言葉からすると、僕たちはギリギリセーフで巻き込まれずに戻って来れたのですね。良かった良かった。
しかし、これで最初の目論見通りに事が運んでいる、ということになります。
「ブラックエッジよ、すまぬ。儂の計算違いじゃった。」
オベリンさんまで暗い顔つきです。
いったいどういうことなのでしょう?
「キリエスに攻撃を仕掛けさせようという所までは良かったのだが、やつらの本気の攻撃は予想を遥かに超えていた。もはや城壁が破られるのは、時間の問題だ。」
それでは、僕らが蜂の巣をつついた、ということになります。
しかもキリエスの指揮官はレジェスが倒しました。
それでもなお、指揮は乱れていなかった。
僕らはキリエスを少し甘く見ていたのかもしれませんね。
レジェスは、多数のキリエス兵に囲まれても動じません。
というより、本気でこの人数相手に戦うつもりでしょうか。
「弓矢隊、打て!」
キリエス兵たちが一斉に矢を放ちました。
これは少々まずいですね。
さすがにこれだけの矢を払うことは不可能です。
「アイスウォール!」
突如、僕らの前に氷の壁が出現してきたではありませんか。
僕は最初、何が起きているのか理解できないでいました。
しかし、それがレジェスの魔法だと知って更に驚きました。
まさか、レジェスがこんな高度な魔法を使うとは夢にも思ってあたなかったからです。
「ちっ!ならば魔法部隊、あの氷の壁を焼いて溶かしてしまえ。」
今度は数人の魔法使いが、同時に火を放ちました。
レジェスが出した氷の壁は瞬く間に溶けだします。
「ムーディーストリーム!」
レジェスは、また違う魔法を唱えました。
すると、氷の壁は一瞬にして溶け、濁流と化してキリエス兵たちを襲いました。
「サンダーボルト!」
更にレジェスは魔法を唱えます。
今度は、その濁流に雷を落としました。
「ぎゃあああ!」
水を伝った電撃がキリエス兵たちを、ばっばったと倒していきました。
しかし、驚きました。
これでは剣士ではなく、上級の魔法使いではありませんか。
僕は、レジェスがこれほどの魔法を使いこなせることを、今初めて知りました。
「さて、お次はこれだ。ホロウソード!」
すると、レジェスの片手にもう一本の剣が出現しました。
その剣は微かに透けているような、そんな虚ろな剣でした。
これは、魔法剣ですね。
僕は絶句するしかありませんでした。
まさか、習得難易度が高い魔法剣まで使えようとは、もはや笑うしかないです。
レジェスは、双方に持った剣で舞うように敵を斬り倒していきました。
この魔法剣もかなりレベルが高いものだと思われます。
剣の腕はもちろんのこと、魔法そして魔法剣と全てにおいて一流と認めざるを得ません。
さらに言わせてもらえれば、恐らくレジェスはまだ余裕をもって戦っています。
彼の底はどれ位なのか想像もつきません。
まったく……化け物ですね。
「おい師匠、何をボサッとしているのだ。少しは手伝え。」
圧倒的に僕よりも強い彼ですが、まだ師匠と呼んでくれるのですね。
「残りは任せてください。」
残りと言ってもほんの僅かしかいませんけど、僕は全力で敵を斬り裂きました。
「ふぅ、片付いたな。」
「そうですね。さて、また新手が来ないうちに、とっとと引き揚げましょうか。」
「そうだな。それが賢明だ。」
「……あの、レジェス。」
「ん?」
「……ありがとうございました。」
「や、やめろ、気持ち悪い。」
「気持ち悪いって、師匠に向かって口の聞き方がなっていません。そういえば昔からそうでしたよね。そういう所は全く成長していないんですね。」
こうやって、言い争いをしていると、昔を思い出します。
ただ昔と違うのは、レジェスが声を出せているということ。
だけど、僕には彼と口喧嘩をしていても新鮮というより、どこか懐かしいという感情だけしかありました。
なんというか違和感がないんです。
不思議なものですね。
僕には家族というものがありません。
もしかしたら、こんな感じなのかもしれない。
ふと、そんな風に思えました。
僕とレジェスは、急ぎフェイトフル・リアルムへと帰還しました。
そして、僕を熱烈な歓迎で迎えてくれたのは、国王オベリンでした。
「ブラックエッジよ!生きて帰ってきたか、良かった。お主は命の恩人だ。この戦が終わったら何でも褒美を与えようぞ。」
何でも?これは想定していなかった展開です。
欲しいものは沢山ありますし、やってみたいことも沢山……ぐふふ。
まあ、じっくり考えてみることにしましょう。
「ちょっと待てい。そのピートを救ったのは私だ。私にも是非、褒美を――。」
確かにそうですけど、それはちょっと図々しいのでは、ないですかね。
「おお!レジェス、戻ったか。」
「これは、マスターゼロ。お久しぶりです。」
「――!お前、声が出るようになったのか!?」
そういえば、レジェスにはディミトリさんの事を口外しないという口裏合わせをしていませんでしたね。
「そうなんです。実をいうとこれまでも何度か声が出るようになる事があったのですが、また声を失ったりと不安定でした。しかし今度は違いますぞ。私は完全復活を為し遂げたのです、ワハハハ。」
「そ、そうか。良かったな。」
どうやら、心配には及ばなかったようですね。
「それでピート、アイスの事について何か分かった?」
僕はサーシャ様に報告と自分の考えを挟みながら、キリエスについて説明しました。
「そう……ということは、やはりアイスはフード平原の方に居る可能性が高いって訳ね。」
「ええ。確実とは言えませんが、恐らくそうでしょう。それでこちらの状況は?」
僕の、その問いかけにジャスティス城にいた、皆は重い表情を浮かべました。
「ちょうど君らが帰ってくる直前から、キリエスの猛攻撃が始まった。」
パークさんの言葉からすると、僕たちはギリギリセーフで巻き込まれずに戻って来れたのですね。良かった良かった。
しかし、これで最初の目論見通りに事が運んでいる、ということになります。
「ブラックエッジよ、すまぬ。儂の計算違いじゃった。」
オベリンさんまで暗い顔つきです。
いったいどういうことなのでしょう?
「キリエスに攻撃を仕掛けさせようという所までは良かったのだが、やつらの本気の攻撃は予想を遥かに超えていた。もはや城壁が破られるのは、時間の問題だ。」
それでは、僕らが蜂の巣をつついた、ということになります。
しかもキリエスの指揮官はレジェスが倒しました。
それでもなお、指揮は乱れていなかった。
僕らはキリエスを少し甘く見ていたのかもしれませんね。
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