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父を越える
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僕らがやって来たのは、キリエスが陣を張っていた近くにある、山の麓です。
「これは、遺跡かしら。」
目の前に現れたのは、瓦解した昔の神殿のようなものでした。
人の姿はありません。
しかし、気配は感じ取れます。
恐らくは、この下だと思われます。
「むっ、ここは?」
ダマンが何かを発見した様です。
それは瓦礫に隠すようにあった地下への扉。
その先には石造りの下へ降りる階段がありました。
「よし、降りてみよう。」
階段は思ったより広く造られていました。
それに、ご丁寧に明かりも灯されています。
階段を降りきると、そこには大きな空間が姿を見せました。
そして、そこには白装束に身を包む、謎の集団の姿がありました。
「何者だ!」
その中の一人が大きな声で僕らの元へと歩み寄ってきました。
「我々はソルディウスの者だ。お前たちはいったいここで何をしているのだ!?」
ダマンの言葉に彼らは一斉に反応しました。
「敵襲だ!」
その言葉で疑いは確信に変わりました。
この者たちは、やはりキリエス。
つまり敵だということ。
僕らは戦闘体勢に入りました。
「魔法部隊は、魔力を流し続けろ。他の者は侵入者を排除するのだ!」
これは大当たりです。
やはりここが究極魔法アルティメットを発動させる為の施設でした。
早い話し、こいつらを一掃すればアイスの野望を打ち砕くことができるという訳です。
「ええい、聞くのだキリエスの者ども!お前たちはアイスという魔物に操られておるのだぞ!その魔力は究極魔法アルティメットを発動させるものだと知っておるのか!」
ダマンは、キリエス兵たちを説得しようと試みていました。
「ふん、戯言を。我らは、このレト大陸の平和の為、貴様ら反逆者のソルディウスを倒す!キリエスが治めるレト大陸こそ真の平和へと続く道なのだ――そうですよね、アイス様。」
キリエス兵が送った視線の先を僕らは一斉に見ました。
すると、そこにはあのアイスの姿がありました。
「……アイス。」
「やあ、ソルディウスの諸君。いや、他にも色々な国の者がいるな。中には、人間ではないものまで。」
ついに姿を現しました。
ここで決着をつければ、ハッピーエンドというわけですね。
「ま、待ってください。」
そう言って僕らの前に飛び出したのは、フォックスでした。
「こいつはアイスではありません。」
「――!どういうことよ、フォックス。」
「正体は分かりませんが、一つだけ言えるのはアイスではないということだけです。お前はいったい誰だ!」
これは驚くしかありません。
僕たちから見れば、この男は紛れもなくアイスです。
しかし、フォックスが断言するのですから偽者なのでしょう。
「そんなはずがあるか!貴様ら侵入者の戯言などを聞いている暇はない!」
キリエス兵が信じないのは当然のことです。
しかし、ここでアイスの偽者が暴挙にでました。
「あれー?ばれちゃった。よく分かったな――そうか、お前ディミトリのとこにいたガキか。」
「ディミトリ様を知っているのか。ということはフルガイアの民だな。」
フォックスの言った通り、このアイスの偽者はフルガイアの民であり、アイスの配下の者で間違いないでしょう。
「なんだ、俺のこと知らないのか?ああ!そうかこの姿だからか。」
偽者は、突然姿を変えました。
それは、どこからどう見てもアイスとは別人でした。
赤い髪を逆立てるように立て、瞳は黄金色に輝いている。
「ま、まさか――アラン!?」
「ご名答。いやあ良かった良かった。元の姿に戻っても知らない、なんて言われたら傷ついてたよ、俺。」
アラン……そういえば以前聞いた名です。
確か昔、ディミトリさんと戦ったフルガイアでも指折りの猛者。
でも、ディミトリさんに敗れたのではなかったですかね。
「ま、魔物!?おのれ!アイス様に化けて我らを欺いておったか!魔法部隊、あれを討ち取れ!」
キリエス兵は激昂し、矛先を僕らからアランへと向けました。
キリエスの魔法部隊がすぐに攻撃を仕掛けます。
魔法部隊、およそ百人ほどの魔法攻撃が一斉にアランを捉えました。
「どうだ!手も足も出まい。次は貴様らだ!」
おっと、もう矛先が僕らへ返ってきました。
「隊長、あれを!」
キリエス兵の一人が指差した先には、何とアランがまだ立っているではありませんか。
しかも、何事もなかったかのように涼しい顔をしています。
あれほどの魔法攻撃を喰らっておいてノーダメージなんて考えられません。
これは、もしかしたら――。
「ファシリアの血。」
サーシャ様も感づいていましたか。
「ああ、そうだぜ。お前にも流れているんだろ、この血が。いいや、そういえばお前は人間との混血だったな。この血の恩恵は受けられているのか?それとも――。」
「くそっ!まだ生きていたか。もう一度だ、魔法部隊!」
「ちっ!鬱陶しい蝿どもだ。ゆっくり話しもできねえ。」
アランは、キリエス兵に向けて掌をかざしました。
そして、「スネークバースト!」と、唱えるとアランの手から無数の黒い蛇状のものが一斉に飛びつきました。
「どかん!」
薄い笑みを浮かべ、アランがそう呟くとそれは一気に大爆発を起こしました。
ぎゃあああ!
キリエス兵たちの叫び声が響き渡ります。
そして、僕たちにはその残響が耳鳴りとなって残りました。
「よし、邪魔者は消えた。それで、どうする?このまま話しててもいいし、戦ってもいいぜ。」
このアランというフルガイアの民は、少し変わっています。
あのディミトリさんも、変人だと感じましたが、このアランも同じ様な匂いがします。
フルガイアの猛者は、変り者が多いようですね。
「私がやる。」
名乗り出たのはサーシャ様でした。
「気をつけてください。あいつは、ディミトリ様の全盛期に互角に渡りあえた、フルガイアでも有数の強者です。」
やはり、変わっていても戦闘力は化け物クラスですね。
サーシャ様は、本当に一人で戦って勝てるのでしょうか?
「それは楽しみ。私がこいつを倒して、父を越えていくわ。」
「ワハハハ、面白い。こい!ディミトリの娘!」
「これは、遺跡かしら。」
目の前に現れたのは、瓦解した昔の神殿のようなものでした。
人の姿はありません。
しかし、気配は感じ取れます。
恐らくは、この下だと思われます。
「むっ、ここは?」
ダマンが何かを発見した様です。
それは瓦礫に隠すようにあった地下への扉。
その先には石造りの下へ降りる階段がありました。
「よし、降りてみよう。」
階段は思ったより広く造られていました。
それに、ご丁寧に明かりも灯されています。
階段を降りきると、そこには大きな空間が姿を見せました。
そして、そこには白装束に身を包む、謎の集団の姿がありました。
「何者だ!」
その中の一人が大きな声で僕らの元へと歩み寄ってきました。
「我々はソルディウスの者だ。お前たちはいったいここで何をしているのだ!?」
ダマンの言葉に彼らは一斉に反応しました。
「敵襲だ!」
その言葉で疑いは確信に変わりました。
この者たちは、やはりキリエス。
つまり敵だということ。
僕らは戦闘体勢に入りました。
「魔法部隊は、魔力を流し続けろ。他の者は侵入者を排除するのだ!」
これは大当たりです。
やはりここが究極魔法アルティメットを発動させる為の施設でした。
早い話し、こいつらを一掃すればアイスの野望を打ち砕くことができるという訳です。
「ええい、聞くのだキリエスの者ども!お前たちはアイスという魔物に操られておるのだぞ!その魔力は究極魔法アルティメットを発動させるものだと知っておるのか!」
ダマンは、キリエス兵たちを説得しようと試みていました。
「ふん、戯言を。我らは、このレト大陸の平和の為、貴様ら反逆者のソルディウスを倒す!キリエスが治めるレト大陸こそ真の平和へと続く道なのだ――そうですよね、アイス様。」
キリエス兵が送った視線の先を僕らは一斉に見ました。
すると、そこにはあのアイスの姿がありました。
「……アイス。」
「やあ、ソルディウスの諸君。いや、他にも色々な国の者がいるな。中には、人間ではないものまで。」
ついに姿を現しました。
ここで決着をつければ、ハッピーエンドというわけですね。
「ま、待ってください。」
そう言って僕らの前に飛び出したのは、フォックスでした。
「こいつはアイスではありません。」
「――!どういうことよ、フォックス。」
「正体は分かりませんが、一つだけ言えるのはアイスではないということだけです。お前はいったい誰だ!」
これは驚くしかありません。
僕たちから見れば、この男は紛れもなくアイスです。
しかし、フォックスが断言するのですから偽者なのでしょう。
「そんなはずがあるか!貴様ら侵入者の戯言などを聞いている暇はない!」
キリエス兵が信じないのは当然のことです。
しかし、ここでアイスの偽者が暴挙にでました。
「あれー?ばれちゃった。よく分かったな――そうか、お前ディミトリのとこにいたガキか。」
「ディミトリ様を知っているのか。ということはフルガイアの民だな。」
フォックスの言った通り、このアイスの偽者はフルガイアの民であり、アイスの配下の者で間違いないでしょう。
「なんだ、俺のこと知らないのか?ああ!そうかこの姿だからか。」
偽者は、突然姿を変えました。
それは、どこからどう見てもアイスとは別人でした。
赤い髪を逆立てるように立て、瞳は黄金色に輝いている。
「ま、まさか――アラン!?」
「ご名答。いやあ良かった良かった。元の姿に戻っても知らない、なんて言われたら傷ついてたよ、俺。」
アラン……そういえば以前聞いた名です。
確か昔、ディミトリさんと戦ったフルガイアでも指折りの猛者。
でも、ディミトリさんに敗れたのではなかったですかね。
「ま、魔物!?おのれ!アイス様に化けて我らを欺いておったか!魔法部隊、あれを討ち取れ!」
キリエス兵は激昂し、矛先を僕らからアランへと向けました。
キリエスの魔法部隊がすぐに攻撃を仕掛けます。
魔法部隊、およそ百人ほどの魔法攻撃が一斉にアランを捉えました。
「どうだ!手も足も出まい。次は貴様らだ!」
おっと、もう矛先が僕らへ返ってきました。
「隊長、あれを!」
キリエス兵の一人が指差した先には、何とアランがまだ立っているではありませんか。
しかも、何事もなかったかのように涼しい顔をしています。
あれほどの魔法攻撃を喰らっておいてノーダメージなんて考えられません。
これは、もしかしたら――。
「ファシリアの血。」
サーシャ様も感づいていましたか。
「ああ、そうだぜ。お前にも流れているんだろ、この血が。いいや、そういえばお前は人間との混血だったな。この血の恩恵は受けられているのか?それとも――。」
「くそっ!まだ生きていたか。もう一度だ、魔法部隊!」
「ちっ!鬱陶しい蝿どもだ。ゆっくり話しもできねえ。」
アランは、キリエス兵に向けて掌をかざしました。
そして、「スネークバースト!」と、唱えるとアランの手から無数の黒い蛇状のものが一斉に飛びつきました。
「どかん!」
薄い笑みを浮かべ、アランがそう呟くとそれは一気に大爆発を起こしました。
ぎゃあああ!
キリエス兵たちの叫び声が響き渡ります。
そして、僕たちにはその残響が耳鳴りとなって残りました。
「よし、邪魔者は消えた。それで、どうする?このまま話しててもいいし、戦ってもいいぜ。」
このアランというフルガイアの民は、少し変わっています。
あのディミトリさんも、変人だと感じましたが、このアランも同じ様な匂いがします。
フルガイアの猛者は、変り者が多いようですね。
「私がやる。」
名乗り出たのはサーシャ様でした。
「気をつけてください。あいつは、ディミトリ様の全盛期に互角に渡りあえた、フルガイアでも有数の強者です。」
やはり、変わっていても戦闘力は化け物クラスですね。
サーシャ様は、本当に一人で戦って勝てるのでしょうか?
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