98 / 132
覚醒対決
しおりを挟む
サーシャ様は剣を抜きました。
魔法剣が使えない、この勝負の行く末を大きく左右するのは、パープルアイズを発動できるかどうかだと思います。
「さあ始めようか、ディミトリの娘。」
アランも剣を抜きます。
「――サーシャよ!」
先手に出たのはサーシャ様でした。
素早い動きで、アランを囲むように高速移動しながら、攻撃を仕掛けていきます。
しかし、この動きは?
「ちっ!ちょこまかと、しやがって。」
アランは、サーシャ様のスピードについていけない様子。
この時、僕は確信しました。
サーシャ様が自分自身の意思でパープルアイズを覚醒状態にすることが出来るようになっていると。
どうやら、サーシャ様は戦いが始まってすぐにパープルアイズを発動していたようです。
「ふっ、やるじゃねーか。認めてやる、俺の負けだ。」
「もう終わりなの?」
「勘違いするなよ。スピードでは、お前に勝てないと言ったまでだ。」
パワーでは、サーシャ様に勝ち目はありません。
しかし、当たらなければどうってことはないでしょう。
「もう、これは要らんな。」
アランは、何を思ったのか剣を投げ捨てました。
「これは少しまずい展開ですね。」
意味深な呟きをしたのは、フォックスでした。
「サーシャ様は序盤からパープルアイズを発動させていますが、アランはまだ本気ではありません。」
確かにそうです。
フルガイアの民には何かしらの能力が備わっています。
その能力がサーシャ様にとってはパープルアイズなのです。
アランは、まだ通常の状態。
ここから、どんなパワーアップをしてくるのかで勝敗が決するでしょう。
「アランの覚醒は、サーシャ様にとって相性が悪い。奴を覚醒させる前にしとめるしか手立ては、ありません。」
フォックスは実際、昔からアランのことを知っています。
その彼が言うのですから、きっとそうなのでしょう。
ですが、サーシャ様を舐めてもらっては困ります。
「デビルロック!」
アランの全身を覆うように岩盤が包みこんでいきます。
そしてアランは、まるで岩の鎧を纏ったような出立ちに変貌を遂げました。
「それがあなたの能力ってわけね。」
「そういうこと。残念だが、こうなった俺を倒すことは不可能だぜ、サーシャ。」
防御力は高そうですね。
しかし、ただでさえスピードで劣っているのに、あんな重そうな物を装備しちゃったら、サーシャ様に弄ばれちゃいますよ。
「それはどうかしら。」
サーシャ様は、スピードでアランに揺さぶりをかけながら、攻撃をかけていきます。
一方のアランはこれまでとは違い、その場を一歩たりとも動こうとはしませんでした。
「もらった!」
サーシャ様の剣がアランに突き刺さりました……いや、刺さったと思われた剣先は、アランの厚い岩に弾き返されてしまいました。
「なかなか、いい攻撃だったな。だが、俺には届かないぜ。」
「まだまだ!」
サーシャ様の攻めは、まるで嵐の様でした。
自慢のスピードに乗って、攻撃の手数を増やしていきます。
その攻撃が、次々にヒットしているのですが、アランの分厚い岩を破ることができません。
「だから、効かねえって言ってるだろ!」
アランのパンチがサーシャ様を捉えました。
その衝撃は凄まじく、サーシャ様は吹き飛ばされてしまいました。
ただのパンチであの威力は反則に近いです。
これは、選手交代したほうがよさそうですね。
「私がいこう。」
レジェスも、そう感じたらしく、自ら名乗りを上げました。
「引っ込んでて、レジェス。やっと面白くなってきたところなの。」
「し、しかし……分かった。」
サーシャ様の強がりでしょうか?
それとも何か策でもあるのでしょうか。
「いいね、その心意気は認めてやるが、仲間に変わってもらったほうがいいんじゃねえか?」
敵ではありますが、これはアランの言う通りかもしれません。
今のサーシャ様にあるのは、スピードだけです。
魔法剣も通じない、パワーでもアランの岩を砕く力も持ち合わせていません――!?
この時、僕は一筋の光明を見つけました。
パワーがなければ作ればいい。
攻撃の付加価値としての魔法剣は効かないとしても、剣を強化する補助的な魔法剣ならいけるはずです。
もしかして、サーシャ様はそのことに気づいているのかもしれません。
「大丈夫よ。私はあなたに勝てるわ。」
「ほう、どうやって勝つつもりだ?」
「あなたの弱点は、その右の脇付近にある、そこよね。」
サーシャ様は、アランを指差しながら言いました。
「なるほどな。そのパープルアイズには魔力の流れを見抜く、そんな能力があるのか。」
そういえば、この場所を発見する時も魔力の流れを見つけていましたね。
それを応用して戦いに役立てるとは、サーシャ様にも臨機応変が身に付いてきましたね。
「だが、お前に貫けるのか?簡単にはいかないぜ。」
「分かってる。その小さな弱点は、針の穴に糸を通すようなもの――だけど、私はやれる。」
「いいね。かかってこい!」
「アイアンニードル!」
サーシャ様は遂に魔法剣を使いました。
その剣、スパロウティアズは極細の針のように変化しました。
あれほど細い剣先で貫かなければならない弱点というのは、おそらく相当に難易度が高いはず。
しかも、相手は完全防御スタイル。
何か策がなければ難しい状況ですね。
サーシャ様は、これまで同様スピードでアランを撹乱しながら、攻撃を仕掛けていきます。
しかし、結果は同じでした。
だが、サーシャ様はアランのパンチに何度となく吹き飛ばされながらも立ち向かっていきます。
どうやら、策は無さそうです。
これは、早いとこレジェスに代わってもらったほうが良いかもしれません。
「どうした、ほら俺の弱点はここだぜ。」
アランは自分の弱点を指差しながら、余裕を見せます。
「ハァハァ――まったく、女の子相手にパンチするなんて――!」
サーシャ様もかなり追い詰められてしまいしたね。
次の攻撃を食らったら、終わりかもしれません。
何とか、ここを耐えて好機を伺うしか手がない。
「いいこと思いついちゃった。」
魔法剣が使えない、この勝負の行く末を大きく左右するのは、パープルアイズを発動できるかどうかだと思います。
「さあ始めようか、ディミトリの娘。」
アランも剣を抜きます。
「――サーシャよ!」
先手に出たのはサーシャ様でした。
素早い動きで、アランを囲むように高速移動しながら、攻撃を仕掛けていきます。
しかし、この動きは?
「ちっ!ちょこまかと、しやがって。」
アランは、サーシャ様のスピードについていけない様子。
この時、僕は確信しました。
サーシャ様が自分自身の意思でパープルアイズを覚醒状態にすることが出来るようになっていると。
どうやら、サーシャ様は戦いが始まってすぐにパープルアイズを発動していたようです。
「ふっ、やるじゃねーか。認めてやる、俺の負けだ。」
「もう終わりなの?」
「勘違いするなよ。スピードでは、お前に勝てないと言ったまでだ。」
パワーでは、サーシャ様に勝ち目はありません。
しかし、当たらなければどうってことはないでしょう。
「もう、これは要らんな。」
アランは、何を思ったのか剣を投げ捨てました。
「これは少しまずい展開ですね。」
意味深な呟きをしたのは、フォックスでした。
「サーシャ様は序盤からパープルアイズを発動させていますが、アランはまだ本気ではありません。」
確かにそうです。
フルガイアの民には何かしらの能力が備わっています。
その能力がサーシャ様にとってはパープルアイズなのです。
アランは、まだ通常の状態。
ここから、どんなパワーアップをしてくるのかで勝敗が決するでしょう。
「アランの覚醒は、サーシャ様にとって相性が悪い。奴を覚醒させる前にしとめるしか手立ては、ありません。」
フォックスは実際、昔からアランのことを知っています。
その彼が言うのですから、きっとそうなのでしょう。
ですが、サーシャ様を舐めてもらっては困ります。
「デビルロック!」
アランの全身を覆うように岩盤が包みこんでいきます。
そしてアランは、まるで岩の鎧を纏ったような出立ちに変貌を遂げました。
「それがあなたの能力ってわけね。」
「そういうこと。残念だが、こうなった俺を倒すことは不可能だぜ、サーシャ。」
防御力は高そうですね。
しかし、ただでさえスピードで劣っているのに、あんな重そうな物を装備しちゃったら、サーシャ様に弄ばれちゃいますよ。
「それはどうかしら。」
サーシャ様は、スピードでアランに揺さぶりをかけながら、攻撃をかけていきます。
一方のアランはこれまでとは違い、その場を一歩たりとも動こうとはしませんでした。
「もらった!」
サーシャ様の剣がアランに突き刺さりました……いや、刺さったと思われた剣先は、アランの厚い岩に弾き返されてしまいました。
「なかなか、いい攻撃だったな。だが、俺には届かないぜ。」
「まだまだ!」
サーシャ様の攻めは、まるで嵐の様でした。
自慢のスピードに乗って、攻撃の手数を増やしていきます。
その攻撃が、次々にヒットしているのですが、アランの分厚い岩を破ることができません。
「だから、効かねえって言ってるだろ!」
アランのパンチがサーシャ様を捉えました。
その衝撃は凄まじく、サーシャ様は吹き飛ばされてしまいました。
ただのパンチであの威力は反則に近いです。
これは、選手交代したほうがよさそうですね。
「私がいこう。」
レジェスも、そう感じたらしく、自ら名乗りを上げました。
「引っ込んでて、レジェス。やっと面白くなってきたところなの。」
「し、しかし……分かった。」
サーシャ様の強がりでしょうか?
それとも何か策でもあるのでしょうか。
「いいね、その心意気は認めてやるが、仲間に変わってもらったほうがいいんじゃねえか?」
敵ではありますが、これはアランの言う通りかもしれません。
今のサーシャ様にあるのは、スピードだけです。
魔法剣も通じない、パワーでもアランの岩を砕く力も持ち合わせていません――!?
この時、僕は一筋の光明を見つけました。
パワーがなければ作ればいい。
攻撃の付加価値としての魔法剣は効かないとしても、剣を強化する補助的な魔法剣ならいけるはずです。
もしかして、サーシャ様はそのことに気づいているのかもしれません。
「大丈夫よ。私はあなたに勝てるわ。」
「ほう、どうやって勝つつもりだ?」
「あなたの弱点は、その右の脇付近にある、そこよね。」
サーシャ様は、アランを指差しながら言いました。
「なるほどな。そのパープルアイズには魔力の流れを見抜く、そんな能力があるのか。」
そういえば、この場所を発見する時も魔力の流れを見つけていましたね。
それを応用して戦いに役立てるとは、サーシャ様にも臨機応変が身に付いてきましたね。
「だが、お前に貫けるのか?簡単にはいかないぜ。」
「分かってる。その小さな弱点は、針の穴に糸を通すようなもの――だけど、私はやれる。」
「いいね。かかってこい!」
「アイアンニードル!」
サーシャ様は遂に魔法剣を使いました。
その剣、スパロウティアズは極細の針のように変化しました。
あれほど細い剣先で貫かなければならない弱点というのは、おそらく相当に難易度が高いはず。
しかも、相手は完全防御スタイル。
何か策がなければ難しい状況ですね。
サーシャ様は、これまで同様スピードでアランを撹乱しながら、攻撃を仕掛けていきます。
しかし、結果は同じでした。
だが、サーシャ様はアランのパンチに何度となく吹き飛ばされながらも立ち向かっていきます。
どうやら、策は無さそうです。
これは、早いとこレジェスに代わってもらったほうが良いかもしれません。
「どうした、ほら俺の弱点はここだぜ。」
アランは自分の弱点を指差しながら、余裕を見せます。
「ハァハァ――まったく、女の子相手にパンチするなんて――!」
サーシャ様もかなり追い詰められてしまいしたね。
次の攻撃を食らったら、終わりかもしれません。
何とか、ここを耐えて好機を伺うしか手がない。
「いいこと思いついちゃった。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます
天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。
王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。
影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。
私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる