最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

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サーシャVsアイス

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アイスとサーシャ様の戦いがついに始まりました。

先手をとって仕掛けるのはサーシャ様です。


「燃え盛る剣フレイムソード」


まずは魔法剣を発動させて先制攻撃。

瞳にもしっかりパープルアイズが宿っています。


「お前の力、見せてもらうぞサーシャ。」


サーシャ様は小細工なしで正面から攻撃を乱打しました。

それをアイスは一つ一つ丁寧にさばいていきます。


「なかなかやるな。ではこちらも反撃に転じるとしよう。」


一瞬の隙をついて今度はアイスの攻撃が始まりました。

サーシャ様とは違い手数を繰り出すというよりも一撃一撃を鋭く放っていきます。

研ぎ澄まされた剣撃とでもいうのでしょうか、とにかく鋭い攻撃を出していきます。

対するサーシャ様はその攻撃を紙一重で避けていき、隙を見つけると攻撃を仕掛けていくスタイルで応戦します。


「やはりスピードでは劣るか。ならば――。」


アイスは突然サーシャ様との間合いをとり、下がりました。

そして何やら魔法を唱え始めた模様です。

魔法を唱え終えると今度はまたサーシャ様へと詰め寄りました。

しかし、さっきとは別人の様に素早さを増しているように思えます。

本気を出していなかったのでしょうか。


「あれは強化系の魔法ね。」


ぱっと見ただけでどんな魔法を使ったのかが分かってしまうシエルさんは、やはり偉大な魔法使いみたいですね。


「細胞を活性化させ、肉体を極限にまで高めているようだな。」


今度はレジェスが説明をしてくれました。彼は剣士ながら魔法についてもかなり長けています。

おそらくそれがアイスの使った魔法で正解なのでしょう。

二人の動きを見ているとほぼ互角に戦っているように見えます。

ですが、レジェスの苦い顔を見るとやはりサーシャ様の方が劣勢なのでしょうか。


「レジェス。二人の戦いを見てどう思います?」


「うーん。素早さは互角――いや、若干だがアイスのほうがきれがある。剣技に至ってはアイスの方が数段上と見て間違いないだろう。ただ、サーシャは魔法剣を使って巧く立ち回っているようだ。だが、どこかで攻め所を見いださねば徐々に後手に回ってしまうぞ。」


レジェスの見解通り時間が経つにつれサーシャ様が押され始めてきました。

このままではじり貧です。


ここでサーシャ様はアイスから離れるように後方へ飛びました。


「喰らえ、不死鳥フェニックス」


サーシャ様のこの魔法剣は飛び道具です。

不意を突いた今ならアイスに直撃間違いなしです。


「青一閃ブルーフラッシュ」


完全に直撃すると思われたフェニックスをアイスは剣の力のみで一刀両断してしまいました。

この男、剣技に関して超一流と言わざるを得ません。


「なかなかいい魔法剣だ。だが今の私には通用しない。サーシャ、お前には攻撃魔法が通じない。だから私は自分の体を強化してお前と戦っている。」


やはりレジェスとシエルさんの見解は当たっていました。


「この戦闘が私に有利に働いているのには理由がある。」


アイスは一体何を言おうとしているのでしょう。

ここにいる全ての者がそう感じていたはずです。


「どういうこと?」


「つまりは相性が私にとっては良く、お前にとっては悪いという話だ。」


確かに戦いにおいて、その相性というのは存在します。

ですがそう結論づけるのには早すぎではないでしょうか。

まだ二人は互角に渡り合っているのだから。


「私は本来魔法の方が得意でね。剣を振るのが苦手なのだ。」


よく言いますね。

あれだけの腕がありながら苦手だとか信用できません。


「しかし、お前には魔法が通じない。だから私は仕方なく強化系の魔法を使ってお前と戦っている。だが、それがお前を倒す攻略法となっているわけだ。」


アイスのその言葉の意味が僕にはさっぱり理解できません。


「つまりこの戦い方は不本意ながら強いられてるはずの私のほうが強化魔法によってサーシャ、お前の全てを上回ったということだ。」


確かに今の所アイスのほうがやや優勢にもみえますが、相性が悪いと呼べる程ではありません。

これは心理作戦かもしれません。

無視するのが一番ですよサーシャ様。


「なるほど。あの戦い方は本来のあの男の戦い方ではないということか。」


レジェスが何かに気づいたみたいなので、ここは大人しく聞いてあげようと思います。


「普通なら自分に強化系の魔法など使用しないアイスが、自分の得意な魔法攻撃が通じないサーシャが相手となった。それで仕方なく、その戦い方になったのだが、それがたまたま功を奏したということだ。まあ、戦士としては二流だが戦いというものは勝った方が強い、と言ってしまえばそれまでだ。」


僕にもなんとなく分かりました。

つまりこの展開はアイス本人ですら想像していなかったというこです。

それは言い方を変えれば予想以上にサーシャ様が弱かった、という意味合いも含まれている、ということです。


「この戦いはすぐに終わるだろう。ゆくぞ!」


アイスは青く美しく光る剣を手に、前へと出ます。

今度はさっきより大胆に、かつ豪快に剣を振っています。


「くっ――早いうえに重い。」


サーシャ様は防戦一方の状態に陥ってしまっています。

ここはなんとか早く打開策を打ち出さねば負けてしまいます。

そう、誰もが思っていた矢先でした。

これまで一方的に攻撃されていたはずのサーシャ様がいつしか、所々で反撃を繰り出しているではありませんか。

そして遂にはアイスの重い一撃を跳ね返し、一太刀を浴びせました。


「こ、こいつ。さっきまでとは違う――!」


アイスはいつの間にか後退りしながらサーシャ様の攻撃を防ぐことでいっぱいいっぱいになっていました。


「その目!まさか、目覚めたのか。」


アイスはサーシャ様の目を見て驚きを隠せないでいました。

その瞳は濃い紫色へと変化をしていました。


「サーシャ!それが真のパープルアイズだ。」


ディミトリさんは立ち上がれないほどの傷を負っていながらも、興奮して立ち上がり声を上げました。

ですが、当の本人にはその自覚はないようで、キョトンとした顔でこちらを見ています。

それでも攻撃の手を緩めることはなく、攻め続けていきます。


「くっ、このままでは。」


追い込まれていくアイス。

これは勝てますよ。

行け、サーシャ様!


「いや、まずいぞ。サーシャ!ここで決めるんだ!」


ディミトリさんが、そう叫んだ時でした。

突然アイスの背から青白く光る羽の様な物が生えてきたではありませんか。

これは、恐らくフルガイアの民が持つ特殊な能力だと思われます。

彼らは産まれた時から既に、何かしらの変化能力を携えているのです。


アイスはその翼で天高く舞い上がり、サーシャ様の攻撃をシャットアウトしました。


「ちょっと卑怯でしょ――仕方ない。これをお見舞いしてあげるわ。」


サーシャ様は魔法剣フェニックスを再びアイスへ向けて放ちました。

その炎はこれまでの赤く燃え上がるものとは違い、紫色の禍々しい炎を纏っています。

これならばアイスを焼き尽くすことも可能。

今度こそしとめてくださいサーシャ様。


「少し甘く見ていたのかもしれぬ。私も本気を出さざるを得まい。ブルーラバ!」


アイスの体を青いドロドロとしたものが覆いました。


「冷却。ブルーロック。」


それを冷やしたのか今度はガチガチに固まったようです。

そのアイスにサーシャ様のパープルフェニックスが直撃しました。

やったのか!?

そう思ったのも束の間でした。

爆煙の中から姿を見せたのは無傷のアイスでした。

全身を青い岩石の様な物で被っているアイスはこれまでとは別人のようでした。


「少し速度は落ちるがパワーはこれまでの比ではない。覚悟を決めろ、サーシャ!」


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