最強の女戦士ここにあり

田仲真尋

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レジェスVsモルドス~第五章~

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「少し防御にも魔力を回しておかねば。いや、待てよ。フフフ。」


レジェスは何やら一人でぶつぶつと呟き笑みを浮かべました。

気持ち悪いですね。


「今一度、パンチャー!」


さっきと同じくレジェスはまたしても素手でモルドスへと挑みます。


「これをガードしてはさっきの二の舞。」


モルドスは冷静に今度はレジェスのパンチを見切り、避けていきます。

そして、レジェスの空いた脇腹辺りにパンチを打ちました。

これはいけません。

完璧なタイミングでボディに入ってしまいます。


「なっ!?」


しかし、パンチを打ったはずのモルドスの方が一歩下がりました。

そして、怯んだモルドスに対しすぐさまレジェスはパンチを放ちました。

モルドスはもろに喰らい、吹き飛びました。

そのモルドスの拳を見て驚きました。

なんと拳が血まみれではありませんか。

いったい何があったというのでしょう。


「フフッ。上手くいった。私の防御魔法、ソーンアーマーにて拳を貫かれたのだ。」


どうやらモルドスの拳を撃破したのはレジェスの魔法だったようです。

しかもその魔法は肉眼では見えません。

上手く隠していたのでしょう。

ですが、モルドスのゴールドアイズなら見抜けていたのではないでしょうか。


「な、なぜだ。」


モルドスは起き上がり、すぐにゴールドアイズの力で痛めた拳を治癒していきます。


「少しばかり、その目に頼り過ぎたのではないか。」


レジェスの指摘通りだと思います。

先読みは出来ても体がついていかなければ意味はありません。

しかも開眼してすぐに使いこなすことは難しいはずです。

その瞳に頼りきってしまう気持ちも分からないではないですがね。


「なるほど。我が人間ごときに的を得た意見をもらうとは。ハハハ。」


な、なんとモルドスが笑いました。

これまでずっと仏頂面だった男が声を上げて笑っています。

これはこれでとても恐いですね。


「兄上……。」


「さて、では仕切り直しといくか。」


モルドスの表情が引き締まりました。


「さて次はどうするか――レッグディアー!」


レジェスは足に強化系魔法をかけ跳ねるようにモルドスの回りを廻りました。


「ワイヤー!」


続けざまに紐状の鉄を魔法で召喚し、モルドスの体の自由を奪っていきます。


「こんなもので我は止められん。」


モルドスは、すぐにそれを引きちぎりました。


「やはり駄目か。ならば――スモークスクリーン。」


レジェスは今度は魔法で煙幕を張りました。


「我の目には見えているぞ!」


モルドスがパンチを放つと煙は瞬く間にその風圧で吹き飛びました。

しかし、レジェスの姿がありません。


「そこだな、土竜!」


モルドスは地面に向けてパンチを打ちます。

地面は大きく陥没し砕けました。

モルドスの腕が肘くらいまで地面にめり込んでいます。

レジェスは大丈夫でしょうか。


「な、なに!?」


モルドスは引き抜いた自分の大きな腕を見て驚きました。

なんとその腕にはレジェスがしがみついているではありませんか。


「ポイゾナートゥース!」


そしてレジェスは驚きの行動に出ました。

なんとしがみついたモルドスの腕に噛みついたのです。


「愚かな。なす術がなくて血迷ったか。」


「そんな訳ないであろう。」


レジェスは飛び、モルドスの腕から離れていきました。


「これは――。」


モルドスの腕がみるみるうちに緑色へと変色していっています。

これは毒の魔法でしょうか。

数秒と経たずにモルドスの左腕がぼとりと音を立てて腐ったように落ちてしまいました。

これでもう何度目でしょうか、モルドスの腕がなくなるのは。

どうせすぐ元通りになるのでしょう。


「な、なぜだ。」


急にモルドスは焦りの色を見せました。

どうやら上手く腕を修復出来ないみたいです。

さすがはレジェスです。

なにか仕掛けたのでしょう。


「――えっ!?」


どうやら違うみたいです。

レジェスを見てみると彼も驚きの表情でその光景を見ています。

では、いったい何が。


「あ、あれは。兄上の目が。」


アイスは取り乱したように声をあげました。

見てみると、それは一目瞭然でした。

モルドスの瞳全体が黄金色に変わっていたはずが、いつの間にか眼球だけが黄金色に。

縮小していたのです。


「まさか、我が力を使いすぎてしまったのか。」


おそらくは不慣れなパワーの乱用、といったところでしょうか。

今ならやれるのではないでしょうか。

行くのですレジェス!

ところがレジェスの足元もおぼつかない様子。

どうやらレジェスも色々と使いすぎてしまったみたいです。


「我は負けぬ。いや、負けたくない!」


モルドスの瞳に僅かながら黄金の輝きが戻ってきました。

そして片腕のままモルドスはレジェスへと向かいます。


「うぉおおお!」


モルドスは渾身の力を込めるようにパンチを打ちました。

レジェスはなんとか魔法で防御壁を作りましたが、それはいとも簡単に破壊され、レジェスまで届きました。

そして大きく吹き飛ばされてしまいました。


しかし、すぐさま立ち上がりすぐに回復を図ろうとします。

ですが、さすがにモルドスもそれを見越していました。

すぐにレジェスへと詰め寄りパンチを浴びせます。

レジェスも回復を諦め低級魔法パンチャーにて応戦。

だが、これはモルドスの勝ち。

またもやレジェスは飛ばされます。

そして、それをすぐにモルドスが詰めてきます。

これではレジェスになす術がありません。

まずいですよ。


「お、おのれ。ならば――クレイジーストーム!」


レジェスは魔法にて暴風を起こしました。

辺りが暗くなっていきます。

その風はモルドスを遠ざけていきます。

これはチャンス。

今の内に回復をしておきたいところ。


「こざかしい。蹴散らしてくれるわ!」


モルドスは片足で立つと、その足を軸にぐるぐると回転し始めました。

するとレジェスの出した暴風がまるで巻き戻されるように返されてしまいました。

そしてレジェスへと襲いかかります。

レジェスは再び飛ばされ、モルドスはその間に一気に詰めてきました。

ここからはモルドスの独壇場となりました。

パンチ、キックを織り交ぜ猛攻をしかけます。


「くっ、ウィンドシールド!」


その攻撃をレジェスは何とか風の盾の魔法で防いでいます。

ですがこれでは致命傷を与えられるのも時間の問題です。

なんとか良い手立てを考えなければなりません。


ふとレジェスの表情を見てみると、なんと口元に少しばかりの笑みを浮かべているではありませんか。

打たれ過ぎて頭がいってしまったのでしょうか。

そして何やら呟いているようにも見えます。


「まだだ。まだ我慢するのだ。」


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