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小学5年⒊
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席替えがありました。
今俺は込み上げて溢れそうな言葉と感情で頭がいっぱいであります。
「よろしくなっ、はやせ。」
横からあの可愛い声。
弾けるような笑顔。
彼女の艶ある髪からの甘い香り。
隣に座るのは、憧れて憧れたあの天使様。
あの日から、ちょっと意識してしまって本の内容なんか何も入らなくなってしまった。
俺は、自分の中に芽生えたある感情を感じ取りました。
「恋」でした。
彼女は、本によく出てくる美少女そのもの。
顔はもちろん、声も服も笑顔も性格もかわいいとか反則級。
だが⋯⋯。
その彼女を見て、俺つまり自分自身に思ったことがある。
隕石が当たる確率で、いや天地がひっくり返っても、ありえないが運良く彼女と友達にでもなれたとしよう。
大体の恋愛小説に出てくる主人公は、自称ブスのかっこいいイケメン。
かわいいヒロインに叶うはずのない恋心を抱いては、最後に恵まれるストーリー。
だが、俺はどうだ。
自称ブスのブス。
「俺なんて誰にも愛されない⋯⋯」
なんて恋愛小説のブス主人公は言う。
だが、なんやかんや結局ヒロインと運命的に結ばれる。
俺が生きてるのは現実。
リアル。
逃げることなどできない。
最後に報われることなんてない。
俺はこの広がる世界の脇役だ。
⋯⋯なんて事を毎日考えては項垂れていた日々からその矢先、席替えで席が隣だとぉ!?
歓喜。
だが俺は重度で異常レベルのコミ障。
天使様は愚か、女子にすら目を合わせて話せない。
天国から一転して地獄だ。
言いたいことも、話したいことも何もかも言葉にならないで崩れてくジェンガみたいにバラバラに散らばってどうしようもなくなる。
「はやせ、どこ見てんの~?」
天使様の声。
「え⋯⋯ああ⋯⋯いや」
別に、どこか見ていたわけじゃない。
ぼっーとしてただけだ。
でも、そんな事俺が言えるはずもなく。
「⋯⋯?」
天使様は俺の泳ぐ目をじっと見つめている。
俺は気づいた。
彼女は待ってくれている。
口ごもる俺を。
こんな俺を。
「ぼ、ぼっーとしてた」
言葉を絞り出す。
「あは、なんやそれ」
彼女は少し笑った。
かわいかった。
そして、嬉しかった。
今まで、俺のダチ達以外で話を最後まで聞こうとしてくれたような人は彼女が初めてだった。
俺は、そんな彼女に恋をした。
小5の冬のある日の昼下がりだった。
「はやせってさ」
彼女が頬杖をつきながら言う。
「な、何⋯?」
「肌真っ白やなー!あんたはバレリーナか」
彼女は笑いながら言う。
「え、ああ⋯⋯いや⋯」
なんか俺は照れた。
「うわ!急に顔めっちゃ顔赤くなった!あんたはたこ焼きか!」
細くて食べたくなるような人差し指を彼女は俺に指しながら彼女は言う。
「ちゃ、ちゃうわ!たこ焼きは赤くない!」
あ、俺ごときが彼女に突っ込んでしまった。
「あははは、突っ込むとこそこかい!」
彼女は顔をクシャッとして笑った。
今俺は、知らん人に急にぶん殴られてもハグして許してあげれるレベルで幸せだった。
楽しかった。
続く
今俺は込み上げて溢れそうな言葉と感情で頭がいっぱいであります。
「よろしくなっ、はやせ。」
横からあの可愛い声。
弾けるような笑顔。
彼女の艶ある髪からの甘い香り。
隣に座るのは、憧れて憧れたあの天使様。
あの日から、ちょっと意識してしまって本の内容なんか何も入らなくなってしまった。
俺は、自分の中に芽生えたある感情を感じ取りました。
「恋」でした。
彼女は、本によく出てくる美少女そのもの。
顔はもちろん、声も服も笑顔も性格もかわいいとか反則級。
だが⋯⋯。
その彼女を見て、俺つまり自分自身に思ったことがある。
隕石が当たる確率で、いや天地がひっくり返っても、ありえないが運良く彼女と友達にでもなれたとしよう。
大体の恋愛小説に出てくる主人公は、自称ブスのかっこいいイケメン。
かわいいヒロインに叶うはずのない恋心を抱いては、最後に恵まれるストーリー。
だが、俺はどうだ。
自称ブスのブス。
「俺なんて誰にも愛されない⋯⋯」
なんて恋愛小説のブス主人公は言う。
だが、なんやかんや結局ヒロインと運命的に結ばれる。
俺が生きてるのは現実。
リアル。
逃げることなどできない。
最後に報われることなんてない。
俺はこの広がる世界の脇役だ。
⋯⋯なんて事を毎日考えては項垂れていた日々からその矢先、席替えで席が隣だとぉ!?
歓喜。
だが俺は重度で異常レベルのコミ障。
天使様は愚か、女子にすら目を合わせて話せない。
天国から一転して地獄だ。
言いたいことも、話したいことも何もかも言葉にならないで崩れてくジェンガみたいにバラバラに散らばってどうしようもなくなる。
「はやせ、どこ見てんの~?」
天使様の声。
「え⋯⋯ああ⋯⋯いや」
別に、どこか見ていたわけじゃない。
ぼっーとしてただけだ。
でも、そんな事俺が言えるはずもなく。
「⋯⋯?」
天使様は俺の泳ぐ目をじっと見つめている。
俺は気づいた。
彼女は待ってくれている。
口ごもる俺を。
こんな俺を。
「ぼ、ぼっーとしてた」
言葉を絞り出す。
「あは、なんやそれ」
彼女は少し笑った。
かわいかった。
そして、嬉しかった。
今まで、俺のダチ達以外で話を最後まで聞こうとしてくれたような人は彼女が初めてだった。
俺は、そんな彼女に恋をした。
小5の冬のある日の昼下がりだった。
「はやせってさ」
彼女が頬杖をつきながら言う。
「な、何⋯?」
「肌真っ白やなー!あんたはバレリーナか」
彼女は笑いながら言う。
「え、ああ⋯⋯いや⋯」
なんか俺は照れた。
「うわ!急に顔めっちゃ顔赤くなった!あんたはたこ焼きか!」
細くて食べたくなるような人差し指を彼女は俺に指しながら彼女は言う。
「ちゃ、ちゃうわ!たこ焼きは赤くない!」
あ、俺ごときが彼女に突っ込んでしまった。
「あははは、突っ込むとこそこかい!」
彼女は顔をクシャッとして笑った。
今俺は、知らん人に急にぶん殴られてもハグして許してあげれるレベルで幸せだった。
楽しかった。
続く
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