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第1章・第2騎士団
8,森を蝕む闇
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アトリシア王国の王都の周りには、3つの森がある。
そしてここアトナの森は、時期の変化で魔物が多く生息すると言われている。
「シオン団長!」
赤い制服を着た人が走って来る。
赤い制服は第3騎士団の証である。
「至急、状況報告をして下さい。」
「はっ!東方面は団長が向かわれ、各隊長達は西・南・北と分かれています。」
増援と言ってもこちらはシオン団長を含め、15名だ。援軍が来るまで時間もかかる。
「魔物の数と種類はどうなっていますか?」
問いに、報告の者が言葉を詰まらせる。
「魔物の種類は、ゴブリン・オーク・ウルフ・蜘蛛が確認されています。」
群れを作る魔物が多い。詰まり、言葉を詰まらせる程の数がいるんでしょうね。
「……魔物の数、目視と報告から推定800体程。更に増加しています。」
「……800。グレンがいて、その数に押される筈がありません。」
「確かに、団長がいて被害が押さえられています。」
報告する騎士は顔を真っ青にして、放つ次の言葉に皆は驚愕するのだった。
「……魔物には、キングと上位個体がいて、統率力や知識を持っています。」
……成る程ね。顔も真っ青になる筈だよね。だってキングと上位個体がいるもんね。
上位個体は、A級である。最低でもBランクの実力の者が数人必要。
Aランクの人達でも、単独で簡単に倒せる訳ではない。
詰まり、小説の様に簡単に主人公が倒せる訳ではないと言う事。
そしてキング。あれは、中々見る事が出来ない程珍しい。
だが、キングに与えられる階級はSランク。災害級と呼ばれている。
まあ、下位の魔物なので、Aランクの人達が何人かいれば倒せるそうだ。
冒険者ギルドも尽力しているそうだが、魔物が王都に攻められるのも時間の問題……。
「現在、何処が押されていますか?」
「南です!」
「分かりました。皆、私と数名は南へ向かいます。他は各隊長達の援護を。」
「「「「はっ!」」」」
敬礼するのを見てシオン団長は向かった。
「レイラとアレンは、僕とヒューズについて来てくれる?」
「了解です。」
「分かりました。」
「僕達は西方面に向かうよ。」
「燃えるっす!」
ゼン先輩は爽やかに、ヒューズ先輩は口角を上げやる気満々だ。
アレンさんは少し緊張気味だが、いつも通りである。
私としては、上位個体に当たるのは避けたいけど、とてつもなく嫌な予感がする。
私の感はよく当たるんだけどな……。本当は第4騎士団志望だったんだけどな。
「レイラ、どうかしたの?」
アレンさんが聞いて来る。
「いえ、私達が向かう場所に嫌な予感を感じただけです。」
「何言ってるっす。どの方面も危ないっすよ。嫌な予感は何処も同じっす。」
ヒューズ先輩に、呆れた顔をされた。
「ヒューズ、警戒は必要な事だよ。」
ゼン先輩が、フォローを入れてくれた。私達は西に向かって走り出した。
徐々に魔物の数が増えて来る。幾ら、魔物が多い森でも異常だ。
キングや上位個体がいる訳がない。この森で、何かが起きている。
「やばいっすね。」
「そうだね。」
「速度を上げるっす。新人はちゃんとついて来るっすよ!」
速度を上げ、襲って来る魔物を討伐しながら進むと、2匹のウルフが飛び出して来た。
ブラックウルフは上位個体であり、B級に位置付けられている。
「ゼン、新人を連れて、先に行くっす。ここは俺が引き受けるっすよ。」
ヒューズ先輩は、短剣を双方の手に持ち構える。口角を上げる姿は楽しそうだ。
強い魔物に当たっても、喜ぶとは……変人なのかな?
「分かったよ。でも、調子に乗って怪我はしない様に。」
「おうっす。」
溜息を吐くゼン先輩。
「仕方ない。先に進もうか。」
苦笑いをするゼン先輩に頷く。
先に進むと、悲鳴と木々をなぎ倒す凄い音が響いて来た。
何があるかは分からないが、強い魔物がいる事は分かる音だね。
「2人共、一気に向かうよ。」
「「了解」」
「助けてくれー!」
「……勝てる訳ない。」
「あんな化け物がいるなんて聞いてないぞ!?」
「何であんな強いのがいるのさ!」
「俺が知る訳ねぇだろ!」
防具を着た冒険者らしき人達と、第3騎士団の赤い制服を着た人が2名。
「グレインとダンさんじゃないか。」
ゼン先輩の知り合いらしい。
「ゼン、助けてー!」
「ゼンか。」
黄緑のメッシュが入った黒髪に、青緑色の瞳をした美青年。
隣は、青紫色の髪にダイヤモンドの様な瞳をしている。
口元は制服で隠れているが、美形なのは間違いない。
何に追われているのか、なんて聞く必要はないみたいだね。
彼らを追って来た巨大蜘蛛。
「大きいね。」
「ゼン、言っとくがそいつはキングじゃないぞ。」
青紫髪さんが言う。
「巨大蜘蛛の情報をお願いしても?」
「巨大蜘蛛は、素早さは並だが皮膚は硬く糸を吐く。」
「そこは、蜘蛛と同じなんだね。」
「ああ、だが奴は雷も使う。」
「どう言う事?」
ゼン先輩は、真剣な顔になる。
「知らん!だが、再生力もあるから攻撃しても蜘蛛が雷の攻撃で回復の隙を作るんだ。」
つまり、あの巨大蜘蛛の攻撃を避けつつ、回復する隙を与えない様にするしかないと。
と言うか、あの巨大蜘蛛は希少種の部類だと思う。
希少種は珍しい個体で、強さはS級の域である。
「それに、雷の攻撃するタイミングが全く分からないんだ!」
青緑色の瞳の青年が叫ぶ様に言う。雷の攻撃が連射出来る訳がないでしょ。
私は巨大蜘蛛と似た個体と出会したのは、これで3度目になる。
1度目も2度目も勝った事はない。師匠と修行していた時だったからなぁ。
逃げるのに必死になる程強くて、死にかけた事もある。
と言うか、生きてた事が奇跡である。すると、巨大蜘蛛が雷の攻撃を放って来た。
凄い威力だ。だが、それだけエネルギーを溜めるのに時間がかかる。大体40秒程。
「皆さん。雷の攻撃するタイミングですが、放ってから40秒程です。」
「あいつを知ってるのか!?」
皆、驚愕の表現だ。
「対処法は分かる?」
ゼン先輩が、対処法を聞いて来た。
「倒すなら、40秒の間ですね。」
蜘蛛の攻撃を避けながら会話をする。
「いや、無理でしょ!あの蜘蛛の動きはどうすんのさ!?」
「それに強度の問題もあるだろ。」
「凄く硬いんだよ!」
「先ずは足を狙い、動きを止めるのはどうですか?」
「再生の能力を使うからね。さっきのを見た感じだと数秒で回復するんだろうね。」
「全員で攻撃に転じれば、当たるんじゃないですか?」
「蜘蛛の動きを止めるのは、僕に任せてくれるかな。」
あの巨大蜘蛛の動きを止める?斬らないで?ゼン先輩凄くない?
「動きを止めたとしても、強度の問題はどうするんですか?」
アレンさんの質問に頭を悩ます。確かに、一か八かの攻撃は避けたいな。
「もう少し、攻撃時間が伸びればいいんだけどな。」
「それなら、私が何とかします。再生もあるので、数秒くらいですが。」
「分かった。レイラ、時間を稼ぎお願いするよ。」
「了解です」
「後の皆は攻撃を。」
「「了解」」
冒険者の人達の姿がない。
「えー戦うの!?絶対無理!」
「いいから行くぞ!」
それぞれの位置に行こうとした時、青紫髪の美形さんが言ってきた。
「俺の名前は、ダン・バージェス。」
「僕はアレン・ディンフォードです。」
「私はレイラ・エバーガーデンです。」
「アレンとレイラ、宜しくな!」
「「はい。」」
「僕はグレイン。宜しく。」
青緑色の瞳の青年は、グレインと言う名前らしい。
そしてここアトナの森は、時期の変化で魔物が多く生息すると言われている。
「シオン団長!」
赤い制服を着た人が走って来る。
赤い制服は第3騎士団の証である。
「至急、状況報告をして下さい。」
「はっ!東方面は団長が向かわれ、各隊長達は西・南・北と分かれています。」
増援と言ってもこちらはシオン団長を含め、15名だ。援軍が来るまで時間もかかる。
「魔物の数と種類はどうなっていますか?」
問いに、報告の者が言葉を詰まらせる。
「魔物の種類は、ゴブリン・オーク・ウルフ・蜘蛛が確認されています。」
群れを作る魔物が多い。詰まり、言葉を詰まらせる程の数がいるんでしょうね。
「……魔物の数、目視と報告から推定800体程。更に増加しています。」
「……800。グレンがいて、その数に押される筈がありません。」
「確かに、団長がいて被害が押さえられています。」
報告する騎士は顔を真っ青にして、放つ次の言葉に皆は驚愕するのだった。
「……魔物には、キングと上位個体がいて、統率力や知識を持っています。」
……成る程ね。顔も真っ青になる筈だよね。だってキングと上位個体がいるもんね。
上位個体は、A級である。最低でもBランクの実力の者が数人必要。
Aランクの人達でも、単独で簡単に倒せる訳ではない。
詰まり、小説の様に簡単に主人公が倒せる訳ではないと言う事。
そしてキング。あれは、中々見る事が出来ない程珍しい。
だが、キングに与えられる階級はSランク。災害級と呼ばれている。
まあ、下位の魔物なので、Aランクの人達が何人かいれば倒せるそうだ。
冒険者ギルドも尽力しているそうだが、魔物が王都に攻められるのも時間の問題……。
「現在、何処が押されていますか?」
「南です!」
「分かりました。皆、私と数名は南へ向かいます。他は各隊長達の援護を。」
「「「「はっ!」」」」
敬礼するのを見てシオン団長は向かった。
「レイラとアレンは、僕とヒューズについて来てくれる?」
「了解です。」
「分かりました。」
「僕達は西方面に向かうよ。」
「燃えるっす!」
ゼン先輩は爽やかに、ヒューズ先輩は口角を上げやる気満々だ。
アレンさんは少し緊張気味だが、いつも通りである。
私としては、上位個体に当たるのは避けたいけど、とてつもなく嫌な予感がする。
私の感はよく当たるんだけどな……。本当は第4騎士団志望だったんだけどな。
「レイラ、どうかしたの?」
アレンさんが聞いて来る。
「いえ、私達が向かう場所に嫌な予感を感じただけです。」
「何言ってるっす。どの方面も危ないっすよ。嫌な予感は何処も同じっす。」
ヒューズ先輩に、呆れた顔をされた。
「ヒューズ、警戒は必要な事だよ。」
ゼン先輩が、フォローを入れてくれた。私達は西に向かって走り出した。
徐々に魔物の数が増えて来る。幾ら、魔物が多い森でも異常だ。
キングや上位個体がいる訳がない。この森で、何かが起きている。
「やばいっすね。」
「そうだね。」
「速度を上げるっす。新人はちゃんとついて来るっすよ!」
速度を上げ、襲って来る魔物を討伐しながら進むと、2匹のウルフが飛び出して来た。
ブラックウルフは上位個体であり、B級に位置付けられている。
「ゼン、新人を連れて、先に行くっす。ここは俺が引き受けるっすよ。」
ヒューズ先輩は、短剣を双方の手に持ち構える。口角を上げる姿は楽しそうだ。
強い魔物に当たっても、喜ぶとは……変人なのかな?
「分かったよ。でも、調子に乗って怪我はしない様に。」
「おうっす。」
溜息を吐くゼン先輩。
「仕方ない。先に進もうか。」
苦笑いをするゼン先輩に頷く。
先に進むと、悲鳴と木々をなぎ倒す凄い音が響いて来た。
何があるかは分からないが、強い魔物がいる事は分かる音だね。
「2人共、一気に向かうよ。」
「「了解」」
「助けてくれー!」
「……勝てる訳ない。」
「あんな化け物がいるなんて聞いてないぞ!?」
「何であんな強いのがいるのさ!」
「俺が知る訳ねぇだろ!」
防具を着た冒険者らしき人達と、第3騎士団の赤い制服を着た人が2名。
「グレインとダンさんじゃないか。」
ゼン先輩の知り合いらしい。
「ゼン、助けてー!」
「ゼンか。」
黄緑のメッシュが入った黒髪に、青緑色の瞳をした美青年。
隣は、青紫色の髪にダイヤモンドの様な瞳をしている。
口元は制服で隠れているが、美形なのは間違いない。
何に追われているのか、なんて聞く必要はないみたいだね。
彼らを追って来た巨大蜘蛛。
「大きいね。」
「ゼン、言っとくがそいつはキングじゃないぞ。」
青紫髪さんが言う。
「巨大蜘蛛の情報をお願いしても?」
「巨大蜘蛛は、素早さは並だが皮膚は硬く糸を吐く。」
「そこは、蜘蛛と同じなんだね。」
「ああ、だが奴は雷も使う。」
「どう言う事?」
ゼン先輩は、真剣な顔になる。
「知らん!だが、再生力もあるから攻撃しても蜘蛛が雷の攻撃で回復の隙を作るんだ。」
つまり、あの巨大蜘蛛の攻撃を避けつつ、回復する隙を与えない様にするしかないと。
と言うか、あの巨大蜘蛛は希少種の部類だと思う。
希少種は珍しい個体で、強さはS級の域である。
「それに、雷の攻撃するタイミングが全く分からないんだ!」
青緑色の瞳の青年が叫ぶ様に言う。雷の攻撃が連射出来る訳がないでしょ。
私は巨大蜘蛛と似た個体と出会したのは、これで3度目になる。
1度目も2度目も勝った事はない。師匠と修行していた時だったからなぁ。
逃げるのに必死になる程強くて、死にかけた事もある。
と言うか、生きてた事が奇跡である。すると、巨大蜘蛛が雷の攻撃を放って来た。
凄い威力だ。だが、それだけエネルギーを溜めるのに時間がかかる。大体40秒程。
「皆さん。雷の攻撃するタイミングですが、放ってから40秒程です。」
「あいつを知ってるのか!?」
皆、驚愕の表現だ。
「対処法は分かる?」
ゼン先輩が、対処法を聞いて来た。
「倒すなら、40秒の間ですね。」
蜘蛛の攻撃を避けながら会話をする。
「いや、無理でしょ!あの蜘蛛の動きはどうすんのさ!?」
「それに強度の問題もあるだろ。」
「凄く硬いんだよ!」
「先ずは足を狙い、動きを止めるのはどうですか?」
「再生の能力を使うからね。さっきのを見た感じだと数秒で回復するんだろうね。」
「全員で攻撃に転じれば、当たるんじゃないですか?」
「蜘蛛の動きを止めるのは、僕に任せてくれるかな。」
あの巨大蜘蛛の動きを止める?斬らないで?ゼン先輩凄くない?
「動きを止めたとしても、強度の問題はどうするんですか?」
アレンさんの質問に頭を悩ます。確かに、一か八かの攻撃は避けたいな。
「もう少し、攻撃時間が伸びればいいんだけどな。」
「それなら、私が何とかします。再生もあるので、数秒くらいですが。」
「分かった。レイラ、時間を稼ぎお願いするよ。」
「了解です」
「後の皆は攻撃を。」
「「了解」」
冒険者の人達の姿がない。
「えー戦うの!?絶対無理!」
「いいから行くぞ!」
それぞれの位置に行こうとした時、青紫髪の美形さんが言ってきた。
「俺の名前は、ダン・バージェス。」
「僕はアレン・ディンフォードです。」
「私はレイラ・エバーガーデンです。」
「アレンとレイラ、宜しくな!」
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