騎士団に入る事になりました

セイラ

文字の大きさ
15 / 42
第1章・第2騎士団

15,作戦会議

しおりを挟む
私は訓練場にいる。私だけでなく、アレンさんとセレス君も一緒だ。

「よし!作戦会議をしようか!」
アレンさんの言葉に頷く。

「で、具体的にどうするの?」
「先輩達の対策を考えるべきでは?」

「だろうね。クロード先輩の魔法は厄介だしね。」

「レイラはどうやって、クロードさんの攻撃を避けたの?」

「恐らく、一定の距離を保つか、影が原因かのどちらかですね。」

「それに気をつければ、クロード先輩の魔法は対策が出来るね。」

「ヒューズさんについては?あの人が魔法使ってるとこ、見た事ないんだけど。」

「僕も同じだね。レイラは、あるの?」
「私も同じく、ありません。」

「ヒューズ先輩については、対策が難しいね。魔法が分からないんだから。」

「他の先輩方に聞こうにも、情報をくれるか怪しいですしね。」

勝利に近づく為、私達は対策を考える話し合いを行った。



そして次の日、私達はヒューズ先輩とクロード先輩と試合訓練をする。

「顔付きが前より引き締まってるっすね!少しは楽しめそうっす!」

「わあ~、みんなやる気満々だね~。僕の魔法対策もしてるみたいだし。」

クロード先輩の言葉は、私達が地面に流している魔力の事だろう。

「準備は出来たっすね!……なら、始めるっすよ!」

こうして、試合訓練が始まった。


ーーー結果は……

「いっぱい食べて飲むっすよ!今日は先輩の奢りっす!」

「そうだよ~。ヒューズが奢るからいっぱい食べなよ。」

「クロードも奢るっす!」
「えー。」

「今日は勝ったっすからね。ご褒美っすよ!」
「ありがとうございます。」

「次は成功しないだろうね。また違う対策を考えないと。」

「そうっすよ!頑張るっす!」
酒場にて乾杯をする。

私とセレス君とアレンさんは酒ではなく、ルノアを飲んでいる。

先輩達は勿論、お酒だ。ヒューズ先輩は、驚く程のお酒を飲んだ。

その為、帰る頃にはとても酔い、アレンさんとクロード先輩に支えられていた。

「飲み過ぎたっす~!」
ご機嫌なヒューズ先輩。

この人明日は仕事の筈だが、2日酔いにならないといいけど……。

「しっかり歩いて下さい。ヒューズ先輩。」
「ここら辺に置いとく?」

「流石に駄目だと思うけど?クロードさん。」
「やっぱり~?面倒だなー。」

第2騎士団の敷地門に、満面の笑顔のゼン先輩が仁王立ちしていた。

「ヒューズ、クロード。何があったのか、。」

拒否権はないとでも言う顔をする。私は時計を見る。

門限などはないし、まだ大丈夫な時間帯だと思うんだけど?

「今日は何の日だったかな?」
目を逸らすクロード先輩。

私は瞬時に理解した。彼等が、何らかの用事に行かなかった事を……。

「勿論、分かっているよね?」
「「……はい。」」

ヒューズ先輩とクロード先輩は、真っ青な顔色のまま、正座している。

「レイラ達は帰っていてくれるかな。この2人に、話があるから。」

有無を言わせる雰囲気ではない。私達は去ろうとしたが、ヒューズ先輩に呼び止められた。

「お前達がいなくなったら、ゼンがマジギレするっす!」

「ヒューズ?理由説明説教か、話し合い物理のどちらがいいかな?」

終了の音が聞こえた気がする……。私達は、見えない圧を感じながら寮へ戻った。


次の日、私達はいつも通り書類仕事をしていた。

違った事があったかと聞かれれば、セレス君が私達の部署に来た事だと思う。

そしてもう一つは、ヒューズ先輩とクロード先輩が必死で書類仕事をしている。

それも、背後に座りお茶を飲んで監視しているゼン先輩……。

ライクス隊長は、書類仕事をしながら引き攣り顔で見ている。

後に私は知る。第2騎士団の共通認識には、ゼン・シルクハートを怒らせるな。

と言うものがある事を。だが、後々新人達は嫌でも理解する事であろう。

ゼン・シルクハートの影にある恐ろしさと言うものを……。


昼食の時間になり、アレンさん達とセレス君も追加の4人で食堂へ向かう。

あの盗賊事件から、セレス君は柔らかい雰囲気になっている。

「何見てんの?」
「す、すいません。」

謝るアルス君を見て、セレス君の柔らかい雰囲気は少しずつだと訂正する。

「全員集合だ!フィードバトル祭が決行される日が決まったぞ!」

食堂のドアを開け放ち、声高らかに宣言するカイトさん。

カイトさんの言葉を聞き、歓声を上げる騎士達。

フィードバトル祭とは、主に2種類に分けられているバトルロイヤル。

騎士達が戦うナイトスティアと、冒険者達が戦うアジススティア。

己の経験と技を見せる大会であり、自分の実力を試せる場でもある。

そして今回、ナイトスティアを開催するとの事。参加者は新人達だ。

本来は、騎士団の代表騎士なら自由に参加してもいい。

だが、この時期は必ず代表の新人だけの大会が開催される。

この大会では、騎士団同士が必ずぶつかり合うのだ。

アジススティアは、冒険者達が参加する。どちらも、一般人の参加が認められている。

開催日は、今から1ヶ月後だそう。そして、この大会は団長達が代表を決める。

決められた代表者は1週間の間、他の騎士団の代表達と合同訓練する事になる。

その目的は、合同訓練にて相手を知り対策を立てる為の期間とスキルアップだそう。

まあ、私は代表に選ばれないだろう。そう願いたい。

名誉だか何だが知らないけど、戦闘確率なんて上げたくない。

今回で目をつけられたり、戦場の確率が高くなるならしたくない。

私は安定した給料を貰えればいい。はぁ、こんなうるさい所より、可愛い妹と弟に会いたい。

癒されたい!お金さえあれば、騎士団には入っていない。

まあ、何処かの貴族に嫁いで、金銭面の負担を……。

なんて考えが浮上したが、私がばっさり切り捨てた。

両親は私が幸せなら、何処に嫁いでもいいと言ったが、可愛い妹と弟の離れるのは嫌だ。

それに、一度見合いはしたが、余り関わりたくないとの事で白紙となった。

顔と頭がいいが、己を過剰評価し相手を見下す様な奴は相容れない。

と言うか、その場で魔法を打ち込みたくなったのは確かである。

当たり前だ。あの馬鹿は、私の家族を侮辱したのだから。

馬鹿の家族はいい人だ。何故、あのご両親からあれが生まれたのか理解に苦しむ程。

私の家族を侮辱した馬鹿は、ご両親に叱られていた。

私が耐え抜いたのは、ご両親が謝罪をしたからだ。

そうじゃなければ、私があの馬鹿を殴るか魔法を放っていた。

貴族問題?暴力反対?何それ?私は、争いは好きじゃないよ?

だけどね、大切なものや人を侮辱されるのは、1番許せないんだ。

「じゃあ、代表者を発表するぞ!代表者は5人と決まってるからな!」

おっと、思考に浸っていたら、話が進んでいたらしい。

「代表者は、アレン・セレス・アルス・イスタ・レイラの5名に決まった!」

……何ですとーー!?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい

廻り
恋愛
第18回恋愛小説大賞にて奨励賞をいただきました。応援してくださりありがとうございました!  王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。  ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。 『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。  ならばと、シャルロットは別居を始める。 『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。  夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。  それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...