騎士団に入る事になりました

セイラ

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第2章・第3騎士団と魔道師団

16,森で修行

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私は第2騎士団の代表として、選ばれてしまった。

今は、1週間分の書類仕事をしている最中だ。後2日で終わらせなくてはならない。

第2騎士団の面々は、とても応援してくれた。代表メンバーも頑張ろうと言われた。

しかし私の心は晴れぬまま、憂鬱な心境である。

「皆には期待していますよ。頑張って下さい。大会、楽しみにしています。」

「代表として、悔いのない戦いになる事を祈っている。」

予想通りのシオン団長の言葉と、お堅いシン副団長の言葉を頂いた。

そして2日が経過し、いよいよ合同訓練合宿が始まる日となった。

と言っても、ほぼサバイバルの様な感じだ。森の中で1週間過ごすらしい。

それも、レトアの森でだ。レトアの森は王都からまあまあ離れた森だ。

レトアの森は、神聖な地とされ精霊が沢山いるらしい。

精霊が好む森な為、魔素が多く危険も高い。魔物も多い。

まるで、レトアの森の奥深くにあるものを守ろうとするかの様に……。

まあ、何があるかは知らないけど。
「訓練内容を説明するぞ!」

訓練内容を簡単に説明すると、3日は武器の練習で後の4日間は実戦訓練だそう。

そして、野宿をする際、食材や調理などテントを張る事も自分達でしなくてはならない。

「ふっ、誰かと思ったら、レイラじゃないか。お前も選ばれたとは驚きだ。」

「それはようございました。ルース様。」
「知り合いかい?」

「数度程、お話しただけです。」
ルース・リズベージュ伯爵家のご子息。

私がお見合いして、不愉快な思いを抱いたご子息である。

緑色の髪に黄緑色の瞳をした美青年は、偉そうに仁王立ちしている。

眉間に皺を寄せてしまう。あまり表情が変わらない私だが、表情筋は機能した。

私の表情から、良好な関係ではないと悟ったアレンさん達。

アレンさんは、ルースさんの前に立ち、アルス君とセレス君は私の前に立つ。

「レイラの仲間のアレンです。今回の訓練、楽しみですね。」

「ああ、第1騎士団の代表の俺は、お前達に負けるつもりはないがな。」

ルースさんは、私を馬鹿にした表情を向けて来た。

「まあ、そこの女は直ぐに脱落だろうな。あの家族の血をひくお前にピッタリだ。」

「……それは、どう言う意味ですか?」
遠回しに何か言ってくるのはいつもだ。

「あの貧乏なお前の家族は、貴族を転落しそうだもんな!」

この男、殴っていい?魔法を放っていい?言葉もムカつくが顔もイラつく。

「レ、レイラちゃん!お、落ち着いて!」
どうやら、殺気を放っていたらしい。

それでも馬鹿ルースは喋り続ける。正直言って、鬱陶しい。

「こら!うるさいぞ!」
指揮官の言葉で立ち去るルースさん。

「あまり今回の大会は乗り気ではありませんでしたが……。楽しみですね。」

「レ、レイラちゃん?」
「……程々にしなよ。」

アレス君は慌てているが、アレンさんとセレス君は呆れ顔をしている。

私達は、森の中を全力で走っている。体力向上の為だ。

足腰を鍛える為にも、山の中や海の浜辺で走り込みをするのには最適だ。

ただ、山の中で走るのが慣れていない者達からすると、しんどいだろう。

私は山の中で走るのは、苦ではない。慣れているし。

アレンさんとセレス君も、指揮官にギリギリ着いて行けている。

第2騎士団の中では、イスタ君も余裕で走っている。

彼は、水色の髪に黄緑色の瞳をした美少年。身長は低いが、私より年上だ。

身軽な動きが特徴的で、運動神経は異常な程高く、先輩達は猿と表現していた。

実際に見ると、凄いものだ。恐らく、今回集められた代表者達の中で一番かも。

紺色の髪に青色の瞳をした美青年の、アビト・ソードリオ。

彼も余裕そうに着いて行っている。大会前の訓練はきついらしい。

代表に選ばれていても、訓練に着いて行ける者は限りなく少ないらしい。

そんな話を聞いたが、今の走り込みがウォーミンクアップなら納得だ。

その後は重りを足につけて、片足で木の枝に飛び移る事をした。

他には、あらゆる仕掛けのある場所で、魔法や剣を使わずに避けきる訓練。

他にも色々な訓練があった。終わった頃には、全員が疲労が溜まり寝転がっている者も。

「ぼ、僕……もう、動けない……。」
「流石に疲れたね……。」

「疲れた。身体が動かないんだけど……。」
私も疲れたが、寝転がってる場合じゃない。

「皆さん。ここは野宿です。夕食の準備をする時間ですよ。」

私はご飯の準備をするべく、立ち上がり行動する。

「……何で動けんだよ。」
動けない一同の思いであった。


私は驚く事しか出来ない。料理が出来る人が少ない。

と言うか、殆どいなくない?第2騎士団の面々で料理が出来るのは2人だけ。

私とアルス君だ。イスタ君は、料理が全く出来ないそうだ。

「で、でも僕、焼く事しか出来ないよ!」
「焼ければ十分です。」

貴族の子達は料理など出来る筈もなく、平民の子達でも出来る子は少ない。

「お前達が作った物など食べられるか!」
などと、叫ぶ馬鹿もいる。

野菜を切った事もないのが多数。正直言って、指導する騎士達が可哀想だ。

彼等はそれぞれ付いていて、料理の出来栄えも見ないといけない。

「お前達の担当は俺だ。宜しくな。」
彼は、ダン・バージェス。

青紫色の髪に、ダイヤモンド色の瞳をしている美形だ。

第1騎士には平民はいないので、1番大変そうだ。

周りの人達に料理を教わってもいいそうだが、プライドが高い貴族はきついだろう。

「料理何て、平民が作る物だぞ!」
などと、私に怒鳴ってくる馬鹿。

あいつにだけは、食べさせない。
「ど、どうするの?」

「班のリーダーを決めようぜ!」
「なら、アレンさんにしときましょう。」

「レイラがいいんじゃないかな?」
「私は嫌です。」

「班のリーダーは俺がやりたい!」
「いいですよ。」

「興味ない。」
「いいよ。」

「よし!なら、レイラ!進行よろしく!」
自分で考えて欲しい。

「先ずは、担当を分けましょう。水汲みと薪を取り、食材調達をしましょう。」

「なら、俺は魚の調達に行って来る!」
「僕は水汲みをして来るよ。」

「なら、僕は枝を集めて来る。」
「ぼ、僕は……。」

「アルス君は、私と調理の準備をお願いします。」

「分かった。」
荷物は各自で準備する決まりだった。

それも、自分が持ち運び出来る量でだ。だから、必要な物を慎重に選ぶ必要があった。

私は必要最低限の物しか入れていない。荷物が多いと邪魔だし。

石を集めて、火が起こしやすいように円の形に並べる。

「枝、集めて来たんだけど。これ、どうすんの?」

「ありがとうございます。」
小枝は組んだ木の枝の中へ。

皆が戻って来て、材料は揃ったので調理を始める。




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