騎士団に入る事になりました

セイラ

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第3章・レイフィス獣王国

37,秘密の地下室

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次の日の朝、クレイテリサの魔物に、クレイフィスの花を食べさせた。

そして、昨日匂いをつけた位置に向かう。勿論、私は変装している。

今日も男装である。だが、昨日とは姿や雰囲気、歩き方に声も違うから分からない筈だ。

クレイテリサが、クレイフィスの花の匂いを見つけた様だ。

私はクレイテリサについて行く。魔法で私達の動きは認識阻害されている。

だから、気にする人は勿論いない。クレイテリサが向かった場所は、意外な所だった。

古びた教会である。所有者は誰もおらず、今は誰も使っていないと聞いた。

そんな場所にクレイテリサが向かった?クレイテリサは地面を掘って下を目指している。

まさか、地下があるのか?成る程ね。使われていない教会に地下があるのか。

地下で移動すれば、目立つ事なく簡単に移動できる。

わざわざ地下を作った?いや、元々あったならどうだろうか?

いずれにせよ、本当に地下があるなら、調べないといけない。

私はクレイテリサを回収した。今も、クレイテリサは地面を見つめている。

先ずは、バレない様に地下に行く術を探さないとね。

そう思っていると、感知に反応があったので、急いで木の影に隠れる。

1人の男が教会の中に入って行った。風魔法で、ネズミの形を作る。

記録の魔道具を取り付け、男を追わせる。これで中の様子や地下も調べられる。

取り敢えず今日は帰ろう。部屋で情報を集める事にしよう。

ここは敵地だからね。油断したら、確実に見つかるだろうし。



私は素早く、クレイテリサと共に宿屋に戻り、結界魔法と警戒魔法を厳重にする。

付けられてはいない筈だ。細心の注意を心がけたからね。

さて、感覚共通にして、魔法で作ったネズミで中の様子を探ろう。

物陰に隠れつつ、男を追う。男は、端っこの壁に向かう。

煉瓦の1つを押すと、置物が移動し、地下への階段が現れた。

隠し通路か……何故、それが教会にあるのか、気になる所だな。

男は地下へと降りて行く。小型魔法ネズミも地下へと向かう。

地下への階段の壁の煉瓦を男は押した。すると、一気に火が現れ明るくなる。

どうやら、明かりを灯すスイッチだった様だ。地下へ進む内、声が聞こえて来る。

地下は黒尽くめや柄の悪い連中、などが多くいる場所だった。

見渡せば、受付の場所や掲示板などがあり、冒険者ギルドを思わせる。

と言うか、闇ギルドじゃない?誘拐犯を探していたら、闇ギルドを見つけちゃったよ。

「今日も、オークションに出す獲物を捕まえたぜ。」

「騎士団も、俺達の事に気付いてねぇしな!無能な奴らだよな。」

「守れない自分の未熟さに、悔しがってるだろうよ。」

「ちょっと黙ろうか。大事な報告があるんだからさ。」

「ああ、第2騎士団の隊長に、罪を擦りつける件か!」

「どうだったんだよ!」
「黙れ!ロブノ。話せ。」

「了解。新人が殺された罪を、ライクス隊長に押し付けるつもりだったんだけど。」

「失敗したのか。」
「何か、情報が漏れてるんだけど。」

「誰かが、裏切ってるって事か?」
「断定はできないけどね。」

「分かった。俺が捜査しておこう。」
眼帯をつけた厳つい男。

あれが、闇ギルドのマスターかな。そして、その隣にいるのはロブノさん。

第2騎士団所属で、ライクス隊長の部下である。そう、裏切り者だ。

茶髪に紫色の瞳をした男性である。軽い話ぶりだけど、騎士の時は真面目だ。

演技をしているのだろう。
「人数は揃ったの?」

「ああ、20人だな。上玉が5人、上者なのが、7人だ。後は引き立て役だな。」

「ふ~ん。エルフ族何て、よく捕まえたね。警戒心が強いのに。」

「運が良かったと言うべきだな。武器の密売はどうだ?上手く行ってるか?」

「今の所は、問題ないよ。オークションまでには間に合うかな。何もなければだけど。」

「必ず成功させろよ。ルベッタ国は、お得意様なんだからな。」

「分かってるって。」
ルベッタ国は小国の筈だ。

それが、武器の密売に関係している。それは、由々しき事態だ。

何故なら、戦争の準備と取れるからだ。これは、阻止しないと。

その後は、エールを飲みながら雑談しているので、地下を見る事にした。

誘拐された子達の居場所と現状、武器の密輸ルートの割り出し。

後は、地下の構造を調べる事かな。出来れば、裏の貴族の情報も欲しい。



小型魔法ネズミで、地下の捜索をした結果、以下の事が分かった。

▷地下の構造と、人を闇オークションへ送り込む為のルート。

▷武器の密輸ルートは、闇オークションと同時進行で行われる。

▷誘拐された子達の居場所と状態、関係している貴族達の情報。

▷闇ギルドや、闇オークションのスタッフの情報と人数。


地下の構造だが、闇オークションの他にも、複数に繋がっている様だ。

誘拐しても、普通に移動すればバレやすい。見つかる確率が高くなる。

だが、地下へ繋がっている所を使えば、人目を気にする必要がない。

誘拐された子達を、闇オークションへ連れて行くのも、地下を通ってだろう。

しかし、問題なのが誘拐された子達の居場所が、バラバラだと言う事だ。


続いて、武器の密輸ルートだが、とある屋敷で行われるのだそう。

ルベッタ小国の、上位貴族である侯爵の者が来るらしい。

その者との取り引きなのだとか。つまり、謀反である。

国の総意ではないのだ。その取り引きが済み次第、船を使う様だ。


誘拐された子達の居場所は、複数箇所あり分からない様にしているみたいだ。

この闇ギルドで、牢屋に閉じ込められているのは4人だった。

状態はあまり食事をとれていない様だった。外傷などの怪我はない。

関係している貴族達は分かったが、結構面倒な事になりそうだ。

上位貴族以外にも、子爵家や男爵家も関わっているみたいだからだ。


闇ギルドの者達と、スタッフの情報と数を調べたのは、決して逃がさない為だ。

調べるのには苦労した。書類だらけの場所で、1つ1つ調べたからね。

ネズミの姿でだ。保管場所も厳重で、入り組んだ魔法結果もあったしね。


でも、大分いい成果を得られたのではないかと思う。

後は、この事をシオン団長に全てを報告するだけだ。

けれど、気は進まない。何故と聞かれたら、本拠地に侵入しました。

何て言えないし、当然怒られるのは目に見えている。

あんまり、あのドス黒い腹黒さんを、怒らせたくないんだよね……。




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