モブ令嬢は白旗など掲げない

セイラ

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学園編(初等部)

放たれた呪い

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私は構えを取ろうとした時に、間に現れた怪盗スティルにどうしようかと悩んでいた。

「ガハハ。貴様が女を大切にすると知っておるわ!貴様にも一泡吹かせてやりたかったのだ。」

そう言って、エズファン子爵は懐から魔石を取り出した。

その魔石を怪盗スティルの前に、エズファン子爵は地面に投げつけた。

その瞬間、眩い光が魔石から放たれた。皆は咄嗟に目を閉じるが、私には通用しない。

眩い光が放たれた時に目を閉じたが、火属性の回復特性を使い目を回復させた。

そしてエズファン子爵が走って来た時、あらゆる攻撃に対処出来る様に透明な結界を張っていた。

眩い光を放つ魔石は、風の刃を周りに放つ。
大地の盾グランシル

私の詠唱に透明な結界は物体化した。この魔法は前世の知識を用意た結界だ。

化学物質が強く結びついた時、強度のある物が誕生する。それが金剛石ダイヤである。

その結界を魔石の周りに張ったので、攻撃魔法が外に漏れない。

まあ、騎士の人や魔法師の実力者なら目眩しも、魔石の攻撃も対処可能なのだろうけど。

エズファン子爵は驚きの表情を浮かべている。そして私はある事に気付いた。

これは、ヒロインと怪盗スティルの出会いイベントを潰したのでは!?

確か、今の攻撃が飛び、魔法師が対処するが一撃だけ防げなかった攻撃がヒロインの方へ飛ぶ。

それを怪盗スティルが防ぐ。それが2人の最初の出会いだった筈だ。

それを私が・・・何とかして修復しないと!

怪盗スティルとヒロインの出会いは、私の国外追放の確率を上げる。

「まだだぞ!まだ終わってはいない!」
まだ、あるのね。第2撃は撹乱の為の攻撃。

つまり、私がその攻撃を逸らして、ヒロインの方角へ進路を変えればいい。

魔石の反応が複数確認。私は魔法を発動した。
「アイスバード」

これで、ヒロインの方角に向ける事が出来ればいい。逸らすだけだから威力は低い。

つまり、当たっても大怪我はしない。さあ、怪盗スティル。助けてあげて!

「おい、今の攻撃で攻撃の視点がズレたぞ!」
「今のうちに避難しろ!」

何だと!?私の攻撃が攻撃視点をずらして、ヒロインの方角にした筈。

実はセシリアが放った魔法は、観客席の土台の柱を狙って魔法にぶつかったのだ。

あのエズファン子爵。絶対に許さない!これで私の未来が破滅の道に進んだら最悪だ。

「何だと・・・小娘が!」
「お嬢さんに八つ当たりとは、頂けない。」

怪盗スティルは余裕の笑みを浮かべながら、エズファン子爵に向かって歩く。

しかし私は、腰にあるレイピアを抜き放ち怪盗スティルを突き飛ばした。

「チッ」
「一体何が・・・なっ!」

2人が見た光景は、何処から現れたか分からない魔物をセシリアが受け止めていた。

この魔物、なんて力だ。身体強化で上げているのに押される。

「ミラーフェスティバル」
怪盗スティルが唱えた時、怪盗スティルが消えた。

現れた怪盗スティルだが、ブレて見える。それも複数いるのだ。

分身か幻か。怪盗スティルの複数は魔物に手をかざし唱える。

氷の雫が周りに浮かんでいる。
「アイスジェル」

一筋の光から、氷の雫に反射して魔物に当たる。当たった魔物は倒れる。

「お嬢様。あまり危ない事をなさらないでください。ですが、礼を言います。」

いえ、貴方に死なれては困るだけです。
「さて、宝石も頂きましたし、帰りますね。」

いつの間にか、私の手からトロフィーが消えて、怪盗スティルの手に・・・。

月虹のダイヤは、夜空の中で月明かりに照らされた時、虹色に輝くと言われている宝石だ。

しかし、トロフィーの何処にあるかは分からない。だからトロフィーごと持って行くのか。

怪盗スティルが指を鳴らすと、エズファン子爵の身体がツルで捕縛されている。

「貴方が法の裁きにより、悪しき魂が清められる事を祈ります。」

キザな台詞を吐くが、怪盗スティルも泥棒の様な事をしている事を忘れるな。

では、とお辞儀をして、白いマントが舞い白い羽に変わって行く。

白いマントが多くの羽となり、怪盗スティルの周りを舞い散り姿を隠す。

全ての羽が舞い降りた頃、怪盗スティルの姿は何処にもなく、青い一輪の薔薇が置かれていた。

私も最後の一仕事を終える為に、怪盗スティルのいる場所へ向かう。

怪盗スティルはいつも助手である少年がいる。だが、逃走の途中で事故が起こる。

エズファン子爵の残した最後の攻撃が、少年に飛んで行くのだ。

それを怪盗スティルが庇い、片腕が動かなくなる。それどころか、呪いを受けるのだ。

エズファン子爵ではない、別の人物がエズファン子爵に託した呪い。

それが私の国外追放か、死の2択を分ける道の始まりなのだ。

何故なら、主人公が条件を満たした場合に呪いが解除されるが、満たさなければ・・・。

助手の少年が怪盗スティルを助ける為に、命を落とすのだ。バットエンドも始まる。

つまり、ここで助手の少年と怪盗スティルを助ける事が出来れば、私の未来は変わる。

その根源がなくなるのだから!まあ、呪いを渡した人物の処置もしなくては駄目のだけど。

怪盗スティルと助手の少年が見えた。少年はフードを目深く被り、顔は見えない。

2人は走りだす。私は気配を消して、後を追う。黒い何かが少年へと飛んで行く。

「ブースト」
足に風の魔法を発動し、素早くなる。

剣に魔力を流し、呪い解除の魔法も加える。

一応、私に呪いがかからない様に、結界魔法と呪い解除のペンダントも装着済み。

少年を怪盗スティルが庇った時、間一髪で呪いの攻撃を受け止めた。

呪いの解除魔法で呪いを消す。間に合った事に安堵するが、まだ油断は出来ない。

何故なら、呪いを飛ばした犯人が、私達の前に現れたからだ。

コバルトブルーの髪に、白い瞳をした美丈夫。
ーーハドルデア伯爵。

「君にはここで捕まってもらう。」
怪盗スティルに言う美丈夫。

「それは出来ません。呪いまで飛ばす程の憎しみを向けられるとは思いませんでしたが。」

確か、ハドルデア伯爵の息子は怪盗スティルに連れ去られたらしい。

だけど、怪盗スティルはハドルデア伯爵の息子を、お婆さんの所へ預けた筈だ。

ゲーム通りならだけど。死んだと思われたお婆さんが見つかったから。

「私の息子を返して貰う!」
ハドルデア伯爵は子供を溺愛していた。

つまり、怒りが凄い。そのハドルデア伯爵の息子も、怪盗スティルの仲間になるのだけど。

ゲーム設定にはなかったが、お婆さんは何者かに命を狙われているらしい。

ハドルデア伯爵の息子は、お婆さんを守る為に家へ帰らなかったとか。

何で私が知ってるのか?それは、裏で情報収集に動いているからだ。

「貴方の息子さんの事など知りませんよ。」
ここでわだかまりをなくしたい。

しかし、何も知らない私がでしゃばる事ではない。
「教えて差し上げたらどうですか。」

私の言葉に皆が視線を向ける。

「息子さんが何故、ハドルデア伯爵のもとへ戻らないのかも全て。」

「何を言って・・・」
「君は何かを知っているのか!」

今の私は黒い狐の仮面をつけている。だって素顔のままいけないじゃん。

「私は情報を集める者。とある方の命により、ここにいます。」

「つまり、僕達の事も知っていると。」
「ええ。」

少年が聞いて来たので答える。
「貴方の主人のご命令は何ですか。」

「それはお答え出来ません。」
「なら、私の息子は生きているのだな!」

私は周りに会話が聞こえない様に、防音魔法を発動させた。

「この結果内なら、外にもれる事はありません。」



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