ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~

陸奥 霧風

文字の大きさ
86 / 148

第86話 ユーモアセンスに溢れる優しいイケメン王子 

しおりを挟む
ファンクラブの連中に釘を刺すべく、アリシアを自室に呼びつけた。

『コン コン』

「アリシアです」

ドアのノックと共にアリシアの声が聞こえた。

「アリシアかぁ、とりあえず中に入ってくれ」

部屋に入って来たアリシアはユリアラ王女から婚約破棄された男として憐れみの目で僕を見ていた。 ――解せぬ

「アリシア大事な話がある。座ってくれ」

アリシアにソファに座るように促すと、

「はい、アレク様。私に大事な話とはなんでしょうか?」

ソファに座るアリシアに近年、稀に見る真剣な顔つきで話す。

「今から話すことはファンクラブへの警告だと考えてもらってかまわない。これから僕の行動に対しての監視、盗聴、情報漏洩は禁止となる。王宮のみならず学園もこれに当てはまる。万が一、違反行為があった場合は誰であっても、スパイ行為ストーカーとして処分の対象となる。アリシア、僕の言っている意味はわかるかい?」

僕はアリシアが話を理解出来たか確認する為にあえて聞いてみた。そして、アリシアは僕の表情を見て、僕がどれ程真剣なのか分かったようで、アリシアにしては珍しく僕の話を素直に聞いていた。

「アレク様に関する全ての情報を外部に漏らすなと言うことですね?」

さすがアリシア! 僕の専属メイドだけあって話が早い。

「そう言うことだ。アリシアには是非やってもらいたいことがある」

「はい、なんでしょうか?」

アリシアは真剣な眼差で答えた。

「ルナール達にここ数ヵ月間、僕は学園に行けなくなるだろう。超極秘事項の為、詳しい話は出来ないがファンクラブの会員の行動と憶測での噂話は極力謹んで欲しい。でも、出来たら婚約破棄をされて自棄になって自宅警備員へ就職した。と言う噂は流してもらいたい。ただし僕の情報を集めようとするのはしないでくれ。これだけは約束して欲しいと考えている。これらに違反があれば、確実にスパイの疑いをかけられ、処分の対象になるからね。くれぐれも誰一人として、僕の情報を集めたり、接触するようなバカな真似ストーカー行為はしないようにファンクラブの会員には徹底してもらいたい。と伝えて欲しい」

王都の中にケーリンネガー王国の間者が潜んでいる可能性も考えられる。僕のヘタレとして情報が流れるのは良いが、実際にはその通りなんだけど…… 軍事関係の情報が漏れたら戦略的に裏をかかれたり、それこそフロンガスター王国の滅亡に関わってくる。それだけは絶対に避けなければならない。

「もし、その約束にそむいた場合はどうなりますか?」

アリシアはそむいた場合の処分はどうなるのか心配らしい。

「あっ、処分ね。国家機密漏洩罪ストーカー規制法で三等親まで連帯責任でサクッと火炙りかな? ちゃんとゲンタレもかけてあげるから安心して良いよ。僕自ら真心込めて、骨が無くなるまでこんがり焼き上げてあげるから楽しみにしてね」

僕は神妙な顔から急にイケメンスマイルでにこやかに話しかける。

「――!?」

アリシアは僕のあっけらかんとした言葉に絶句していた。


――優しいイケメンはユーモアも忘れない。なぜなら、それがイケメンの嗜みだから……


「アリシア。君も国家機密漏洩罪ストーカー規制法の対象者になるから気を付けてね」

「……………………」

アリシアは無言のまま部屋を出て行った。


――ユーモア溢れる優しいイケメンは誰に対しても気遣いの心を忘れない。なぜなら、それがイケメンの嗜みだから……


「さて、ファンクラブのヤツらには情報漏洩の釘を刺したし、次は武器の開発だな。いきなり頭上に長距離弾道ミサイルをブチ込んだらどうなるかな? さすがにみんなビックリしちゃうよね。どんな顔で反応するか見てみたい気もするけど……」

僕はいつもの独り言を呟き。物騒な事を考えてみたが、火縄銃すら無い世界にいきなり現代兵器である長距離弾道ミサイルはやりすぎだと自重した。

ここでも、どうしても心の底から滲み溢れる優しさに自分は根っからの善人だということを自覚させられた。  


――どこまでも善人でユーモアセンスに溢れる優しいイケメン王子! 理不尽に婚約破棄されたけど……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!

MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!  笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ
ファンタジー
 わたくしは出来損ない。  誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。  それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。  水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。  そんなわたくしでも期待されている事がある。  それは『子を生むこと』。  血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……  政略結婚で決められた婚約者。  そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。  婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……  しかし……──  そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。  前世の記憶、前世の知識……  わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……  水魔法しか使えない出来損ない……  でも水は使える……  水……水分……液体…………  あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?  そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──   【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】 【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】 【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

処理中です...