深説 桶狭間の戦い

日野照歩

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まえがき

まえがき①

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 ― まえがき ―

 桶狭間の戦い。それは日本史上、もっとも有名で謎の多い合戦である。


 通説では以下のように言われている。

「1560年5月 駿河・遠江・三河の3国を擁する今川義元の大群(2万5千~4万5千)が、織田信長の尾張に侵攻した。
 今川軍は各拠点に兵を分散し、手薄になった本陣(5千)は、桶狭間で休息をとっていた。信長は、少数(2千)の兵で本陣に奇襲をかけ、義元を討ち取った。大将を失った今川軍は総崩れとなり駿河へ退却。以降、今川家は衰退し、信長は躍進する。
 なお、本陣の場所を突き止めた簗田政綱は、義元の首を取った毛利新介を抑えて一番手柄となった。」

 しかし、なぜ少数の織田軍が、海道一の弓取りとまで言われた今川義元の大群を打ち破ることができたのか、諸説あり今もって多くの議論を呼んでいる。

 織田信長を知る上で、もっとも信憑性の高い資料、太田牛一著「信長公記」にも合戦の詳細までは記されていない。

 信長は、極端な情報統制を行っていたため、側近である牛一でも作戦については、ほとんど知らされていなかったと思われる。信長本人に聞くわけにもいかず、全貌を把握しないまま記録したのではないだろうか。

 その為、あいまいな箇所が多く、さまざまな憶測を呼ぶ原因となった。後の世で作成された歴史資料でも、著者の創作が加筆され、それが現在まで定説になるケースもあった。


 このように歴史上重要なターニングポイントであるにもかかわらず、今もって多くの謎を秘めている合戦と言える。

 本編へと入る前に、「桶狭間の戦いの謎」について整理してみたいと思う。
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