此処にいるよ

影狼

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食べたい。-開幕。-

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皆様方このような辺鄙なところにおいで下さいましてありがとう存じます。

此処、とある劇場にて皆様方の案内をしている『案内人』と申します。

皆様ありがとうございます!

それではご案内させていただきます、明かりをお付けいたします。

どうぞ、足元にご注意ください。

それでは、演目名を告げさせていただきます。

『此処にいるよ』、でございます。

ーーー開幕いたします~、開幕いたします~。____。---

幼子がいた、ただしもとより人でないが。

名はないゆえに『幼子』と、呼ばれていた。

親はいた気がしたがそんなモノとうの昔に、記憶から抹消したという。

食べてしまいたいのだとか、誰をだと尋ねたらそっけなく返された。

『んなもん知ってどうなる。』だとさ。

けっ、可愛くねぇガキだ。

『おう、俺は可愛くねえよ。』

サガには勝てやしねぇもんよ、俺もお前さんも。』

性…?おいおい、世迷言を言ってくれるなあ。

『世迷言で済めばよかったんだが…残念なことに世の中は、そう甘くねえみてぇだ。』

『まあ、でもな。』

そこにゃ何もいねぇよ…?

『お嬢ちゃんはホーホー鳴いてるのが一番お似合いってことはわかるさ、そう思うだろ?』

『シン…ショク…ワタシ、キライ…。』

『俺は好きだぜ、お嬢ちゃん。』

…おい、何一人でしゃべってんだ。

『よく勉強しとけ、お嬢ちゃんよぅ…性には勝てやしねぇもんよ、俺もお前さんお嬢ちゃんも。』
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