上り坂と猫。

燃える焔。ー注連野。ー

『その黒炎、黒檀の鱗、星海の抱擁知らず地の底で蠢くばかり。』

『冷たく温かい雨が艷笑と猿の尻笑いにて、更に笑む。』

『天の威は、神の威は、とどむることなし。』

『されど骸は、凱旋のいただきは、未だ天にとどかず。』

『黒猫が微睡むと、蜘蛛がい出る、出戸のごとく。』

『花は時を刻み、隠君子の齎す夢うつつで哀しむ。』

『八神を持ち上げ、手慰みに業を編み等しく邯鄲の夢のごとき泥犁を食む。』

『寝ずの番、暗い蔵へと引きずり込まれ優しさの裏にある粋を愉しまれる。』

『傍にあるは黒い黒い二尾、狐の差し金か。』

『絹の糸が訪れる時、闇は灯火に裂かれしばしの安寧が針を擦る。』

『金色の帳を卑劣にも、射抜こうと画策する暗夜の謀略か。』

『菟の五劫呪縛をも解き放ち、憂いを帯びつつある我が君。
隠君子の夢うつつに、微睡む猫の可愛らしさと言ったら惑溺しかねん。
手作りの花冠をぬこ様の目前に、献上しつつ甘々に接するも良し。』