5 / 10
花。ー不明。ー
しおりを挟む
『………おや、こんなところに居たのかい?』
『……ふふ、見つかってしまったわ。』
『……本当にきみは目を離すとすぐに何処か、行ってしまうね。』
『ごめんなさい』
『……あはは、きみにそう言われてしまうとね。』
『こんな風に、拐かしたくなってしまう。』
『……え?』
『こんな風に、どうしたの?あなた。』
『え~、あははっ!本当にきみには敵わない。』
逆に勾引す女性の声に笑う、男性の声がする合間に軽い音がした。
それを皮切りに、声が聞き取り難くなったように思う間もなく、あなたの意識が暗転した。
すると、ゴトンッと何かが落ちるような鈍い音がした。
そしてあなたでない声が相変わらず、聞き取りづらくはあるが微かにしたような、そんな気がした。
何故……、どんな種族が存在……問に思ったことは?
……ことはあるだろうか。
そうだな、……ないな。
……ているところ悪いが。
まるで走っているような音だ。
三人の声がする。
「今度からステップ踏むのはやめてくれ。」
「……はーっ、はーっ……!けほっ、なんなんだこの森!」
「……。」
開口一番に発したのは疑問のようだ。
一拍おくと、周りを見回していた少年が何かを見つけた。
「………あそこの建物がちょうどいいだろう。」
黒に白のグラデーションがある髪を、なびかせていた少年がそう呟く。
「……休憩におあつらえ向きだな。」
からから、からから、からから。
すると、ガラス瓶に入っているものがぶつかっているような音がどこからか、聞こえてきます
『伽藍堂……伽藍……伽藍堂……伽藍堂……伽藍……』
しばらく進むと、鈴の音が鳴り始めます。
りぃぃーん……
道が曲がっており、更にそこをしばらく進むと建物が見えてきました。
いかにも怪しく古びた、白い洋館がその姿を覗かせます。
洋館の周りには百合や薔薇が鮮やかに咲いており、花びらが地面にぽつぽつと落ちていました。
館の正面の扉の上にある影絵は、特段気にしないでしょうか。
松ぼっくりと……髪の長い女性の影絵で、それがこの洋館の象徴だと……納得するでしょう……
その隣には男性の手の中に包まれるようにある、小瓶のラベルと絵がありました。
ラベルに小さくあるのは、『猫』とイソトマの花弁でした。
優美で、しなやかに描かれています。
何処か、貴方の目に伽藍堂に映るのさ。
『誰が、あるいはおまえは。
この可愛そうで無垢な駒鳥はどこに羽ばたくか、知っているだろうな。』
そこにふと、にゃあんと猫の鳴き声がした気がしました。
見てみると、黒いしっぽがありました。
「にゃー……」
猫は一匹だけ、それで終わりだ。
『……ふふ、見つかってしまったわ。』
『……本当にきみは目を離すとすぐに何処か、行ってしまうね。』
『ごめんなさい』
『……あはは、きみにそう言われてしまうとね。』
『こんな風に、拐かしたくなってしまう。』
『……え?』
『こんな風に、どうしたの?あなた。』
『え~、あははっ!本当にきみには敵わない。』
逆に勾引す女性の声に笑う、男性の声がする合間に軽い音がした。
それを皮切りに、声が聞き取り難くなったように思う間もなく、あなたの意識が暗転した。
すると、ゴトンッと何かが落ちるような鈍い音がした。
そしてあなたでない声が相変わらず、聞き取りづらくはあるが微かにしたような、そんな気がした。
何故……、どんな種族が存在……問に思ったことは?
……ことはあるだろうか。
そうだな、……ないな。
……ているところ悪いが。
まるで走っているような音だ。
三人の声がする。
「今度からステップ踏むのはやめてくれ。」
「……はーっ、はーっ……!けほっ、なんなんだこの森!」
「……。」
開口一番に発したのは疑問のようだ。
一拍おくと、周りを見回していた少年が何かを見つけた。
「………あそこの建物がちょうどいいだろう。」
黒に白のグラデーションがある髪を、なびかせていた少年がそう呟く。
「……休憩におあつらえ向きだな。」
からから、からから、からから。
すると、ガラス瓶に入っているものがぶつかっているような音がどこからか、聞こえてきます
『伽藍堂……伽藍……伽藍堂……伽藍堂……伽藍……』
しばらく進むと、鈴の音が鳴り始めます。
りぃぃーん……
道が曲がっており、更にそこをしばらく進むと建物が見えてきました。
いかにも怪しく古びた、白い洋館がその姿を覗かせます。
洋館の周りには百合や薔薇が鮮やかに咲いており、花びらが地面にぽつぽつと落ちていました。
館の正面の扉の上にある影絵は、特段気にしないでしょうか。
松ぼっくりと……髪の長い女性の影絵で、それがこの洋館の象徴だと……納得するでしょう……
その隣には男性の手の中に包まれるようにある、小瓶のラベルと絵がありました。
ラベルに小さくあるのは、『猫』とイソトマの花弁でした。
優美で、しなやかに描かれています。
何処か、貴方の目に伽藍堂に映るのさ。
『誰が、あるいはおまえは。
この可愛そうで無垢な駒鳥はどこに羽ばたくか、知っているだろうな。』
そこにふと、にゃあんと猫の鳴き声がした気がしました。
見てみると、黒いしっぽがありました。
「にゃー……」
猫は一匹だけ、それで終わりだ。
0
あなたにおすすめの小説
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる