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エピソード 5
○梅ババア 4
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私は、花子に言われて周りを見回します。
懐かしい部屋ですが、思い出したくない記憶でもあるので、胸に鈍痛が有るような変な感じがします。
そんな時、鏡台に違和感があります。焦げた畳の上にひっそりと在るそれは、私を誘っているようでした。ふと、三面鏡の前に座ってみます。
「お母さんが使っていたのかな?」
鏡の前で表情を作ってみます。鏡に写る笑顔は、なかなか可愛い。我ながら緊張感が足りないと思い、表情を真顔に戻します。しかし、鏡の中の私は、笑ったままでした。
「!」
その後の展開は、さらに驚きの連続なのです。鏡の中の私が、話し掛けて来たのです。
「深町早苗、マンションの呪いを解きに来たのかえ?」
その言葉と共に、鏡の中の私にも変化が起きます。美しい顔が崩れ、皺だらけの老婆になり、瞳が怪しげに紅く光ります。もう完全に私じゃない。
鏡の中の老婆は、驚いた事に、鏡の中から左手を伸ばして来ます。いや、鏡は左右が反転するから正確には右手でしょうか? その右手が、私の細い首を掴んだのです。
もう、老婆じゃなくてババアでいいです。ババアの手は、そのまま私を鏡の中に引き摺り込むのです。
「おい、ツインテールは?」
花子さんが叫びます。
私は、ツイちゃんの入った籠を、離れた場所に置いていました。慌てて掴もうとしますが、もう届きません。
「ドジ! 用心棒を手放してどうする」
花子さんの叱咤も時すでに遅しで、既に鏡の中に取り込まれていました。
取り残されたツイちゃんが、必死で籠からの脱出を謀る姿が遠くなります。
懐かしい部屋ですが、思い出したくない記憶でもあるので、胸に鈍痛が有るような変な感じがします。
そんな時、鏡台に違和感があります。焦げた畳の上にひっそりと在るそれは、私を誘っているようでした。ふと、三面鏡の前に座ってみます。
「お母さんが使っていたのかな?」
鏡の前で表情を作ってみます。鏡に写る笑顔は、なかなか可愛い。我ながら緊張感が足りないと思い、表情を真顔に戻します。しかし、鏡の中の私は、笑ったままでした。
「!」
その後の展開は、さらに驚きの連続なのです。鏡の中の私が、話し掛けて来たのです。
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その言葉と共に、鏡の中の私にも変化が起きます。美しい顔が崩れ、皺だらけの老婆になり、瞳が怪しげに紅く光ります。もう完全に私じゃない。
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もう、老婆じゃなくてババアでいいです。ババアの手は、そのまま私を鏡の中に引き摺り込むのです。
「おい、ツインテールは?」
花子さんが叫びます。
私は、ツイちゃんの入った籠を、離れた場所に置いていました。慌てて掴もうとしますが、もう届きません。
「ドジ! 用心棒を手放してどうする」
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