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エピソード 5
○梅ババア 6
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私は、急いで通話をタップします。すると、時報案内の電子音が流れました。
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、ツインテールの側に着いたよ」
私も花子さんも、思わぬ助っ人の登場に歓喜したのです。
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、ローサンで、金のスプーンを買ったよ」
「バカ猫、腹ごしらえしている場合か! メリーも頼みを聞くな!」
「ツイちゃん、メリーちゃん、早くぅ」
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、早苗の後ろに憑いたよ」
私が振り返ると、金髪瑠璃眼の西洋人形の様な幼女が、猫の入った籠を持って立っていました。
「お待たせ。早苗の忘れ物を届けに来ました」
「メリーちゃん、ありがとう」
私は、メリーさんから籠を受け取ると、ツイちゃんを外に出します。そこへ、花子さんが気合いを入れるのです。
「ツインテール、ボーッとしてんじゃねぇぞ!」
花子さんの気合いは効果覿面《こうかてきめん》で、目ヤニで塞がっていたツイちゃんの目が見開かれます。 尻尾は二つに割れ、毛並みの艶が良くなり、みるみる若返るのです。
「ニャーーーゴ! 早苗、よくも今まで可愛がってくれたにゃ! この御礼はたっぷりするにゃ」
私は、ツイちゃんのなんとも解釈し難い言葉に戸惑いつつも、頼もしい用心棒の復活を喜んでいました。
「ツイン、あの鬼ババアを倒せば、早苗が遊んでくれるよ」
花子さんが、ツイちゃんをスマホの中から唆《そそのか》す。
ツイちゃんは、何時もの様に大喜びをします。つまり、頭フリフリ尻尾ユラユラ跳び跳ねました。
「ホントにゃ、ホントにゃ、ならオイラ戦うぞ。鬼ババアをイタリアに在るヨーロッパ最大級の活火山の火口に放り込むにゃ」
ツイちゃんは、意気込みも新たに身構え、鬼ババアを睨みます。背中を持ち上げ、自分を大きく見せ、威嚇したのです。
「フーッ、フーッ」
その時、ツイちゃんの体に変化が起きます。サイズがドンドン大きくなり、普通の猫だったのが、虎やライオンクラスの体格に変わります。尻尾も二本だったのが、九本に増えたのです。
「やだ、ツイちゃんが可愛くなくなった」
私の感想は、ツイン(本当はナイン)の心を折るのに充分だったようです。
「早苗、オイラは魅力的じゃないにゃ?」
大きな猫は、私の顔を見上げます。耳は垂れ、髭は茹でた素麺の様で、ツイちゃんのメンタルを表していました。
「バカ、戦意を喪失させてどうするの? 早くバカ猫をおだてて」
花子さんの忠告は、私を慌てさせます。取り敢えず言葉を探します。
「ツイちゃん、好き……」
ツイちゃんは、目がハートになります。耳が立ち、髭はビンビンに固くなったのです。
「それは愛の告白にゃ?」
「そうよ、バカ猫、いや、化け猫。さっさと二人の邪魔をする鬼ババアを倒して、ハネムーンでも何でも行きなさい!」
花子さんが適当に促すと、ツイちゃんが本気にします。
「オイラ頑張るにゃ!」
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、ツインテールの側に着いたよ」
私も花子さんも、思わぬ助っ人の登場に歓喜したのです。
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、ローサンで、金のスプーンを買ったよ」
「バカ猫、腹ごしらえしている場合か! メリーも頼みを聞くな!」
「ツイちゃん、メリーちゃん、早くぅ」
「ピ、ピ、ピ、ポーン、私メリーさん、いま、早苗の後ろに憑いたよ」
私が振り返ると、金髪瑠璃眼の西洋人形の様な幼女が、猫の入った籠を持って立っていました。
「お待たせ。早苗の忘れ物を届けに来ました」
「メリーちゃん、ありがとう」
私は、メリーさんから籠を受け取ると、ツイちゃんを外に出します。そこへ、花子さんが気合いを入れるのです。
「ツインテール、ボーッとしてんじゃねぇぞ!」
花子さんの気合いは効果覿面《こうかてきめん》で、目ヤニで塞がっていたツイちゃんの目が見開かれます。 尻尾は二つに割れ、毛並みの艶が良くなり、みるみる若返るのです。
「ニャーーーゴ! 早苗、よくも今まで可愛がってくれたにゃ! この御礼はたっぷりするにゃ」
私は、ツイちゃんのなんとも解釈し難い言葉に戸惑いつつも、頼もしい用心棒の復活を喜んでいました。
「ツイン、あの鬼ババアを倒せば、早苗が遊んでくれるよ」
花子さんが、ツイちゃんをスマホの中から唆《そそのか》す。
ツイちゃんは、何時もの様に大喜びをします。つまり、頭フリフリ尻尾ユラユラ跳び跳ねました。
「ホントにゃ、ホントにゃ、ならオイラ戦うぞ。鬼ババアをイタリアに在るヨーロッパ最大級の活火山の火口に放り込むにゃ」
ツイちゃんは、意気込みも新たに身構え、鬼ババアを睨みます。背中を持ち上げ、自分を大きく見せ、威嚇したのです。
「フーッ、フーッ」
その時、ツイちゃんの体に変化が起きます。サイズがドンドン大きくなり、普通の猫だったのが、虎やライオンクラスの体格に変わります。尻尾も二本だったのが、九本に増えたのです。
「やだ、ツイちゃんが可愛くなくなった」
私の感想は、ツイン(本当はナイン)の心を折るのに充分だったようです。
「早苗、オイラは魅力的じゃないにゃ?」
大きな猫は、私の顔を見上げます。耳は垂れ、髭は茹でた素麺の様で、ツイちゃんのメンタルを表していました。
「バカ、戦意を喪失させてどうするの? 早くバカ猫をおだてて」
花子さんの忠告は、私を慌てさせます。取り敢えず言葉を探します。
「ツイちゃん、好き……」
ツイちゃんは、目がハートになります。耳が立ち、髭はビンビンに固くなったのです。
「それは愛の告白にゃ?」
「そうよ、バカ猫、いや、化け猫。さっさと二人の邪魔をする鬼ババアを倒して、ハネムーンでも何でも行きなさい!」
花子さんが適当に促すと、ツイちゃんが本気にします。
「オイラ頑張るにゃ!」
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